【積極的とはどういうことか】
・カリアッパ師に、お前の病の原因は戦争で人を殺した処にある。
だから、「お前がその病に罹っていることに、強い反省の心を持た
ねば駄目だ。その反省が、やがてお前をより幸福の者にしてくれる原
動力となる」と言われた。
・そして、心を積極的に堅持したければ、「生まれたての心」に返るこ
とだと言われた。「生まれたての心」とは、ドイツ語で「タブララ
サ」だ。「タブララサ」とは、透明、何の色にも染まっていない「ピ
ュア」なものだ。
○「生まれたての心」に自分の心を返せ、それが「積極的」だ。「ピュ
ア」とは、「尊さ、強さ、正しさ、清らかさ」を失わないことをいう
これを失うと、「神経系統」が弱くなってしまう。
・なんでもない時は虚心平気、自分でも惚れ惚れするような尊さ、強さ
正しさ、清らかさを持っているかもしれないが、いざ鎌倉の時、何か
事ある時、大抵の人はこの反対になってしまう。
いかなる時にも、心の「尊さ、強さ、正しさ、清らかさ」を失っては
いけない。万一、それを失うとたちまち神経系統が弱ってしまう。神
経系統が命を生かしている中枢力(pivot)だから、それがボルテー
ジを落とすと命もたちまちものの役に立たないことになる。
・積極心とは、また、純粋で雑念妄念のない心をいう。
(宇野千代著・天風先生座談より)