【中村天風先生考案の心の積極化法 その3】
・ここでは、「顕在意識の積極化法」を取り上げたい。
・なぜ、顕在意識を積極化する必要があるのかというと、それは我々が
消極的な情報の溢れた社会に住んでおり、その消極的な情報を無制限
に心に取り入れてしまうと、せっかく潜在意識の積極化法を実践して
いても、それがいつまで経っても達成できないことになるからである
・それでは、顕在意識を積極化するにはどうすればいいのか。それには
「5つの日々の心掛け」がある。それは、「内省検討、暗示の分析、
交人態度、取越し苦労厳禁、正義の実行」の5つである。
・「内省検討」とは、今現在の自分の心が、積極的か消極的かを冷静に
判断し、消極的だと思えば、すぐに積極的方面へ心機転換すること。
・「暗示の分析」とは、自分の心を他人の言葉や行動の中の消極的な事
柄に同化させていないか、自分が他人の言葉に動かされていないかを
考査すること。
・「交人態度」とは、人と接する時には、いつも積極的な言動を心がけ
ること。また、他人の気持ちを、自分と同じように積極的にするよう
心掛けること。特に、病の人や悲運の人には、相手を鼓舞する言葉だ
けを使うように心がけること。
・「取越し苦労厳禁」とは、過去に自分が行った行為を悔やんでみたり
将来のことを考えてああなったらどうしよう、こうなったらどうしよ
うと思い悩むことをやめること。
・「正義の実行」とは、社会規範に反しないように心がけることとは少
し違って、どんな場合にも、自分の本心良心に従って行動するこで
ある。本心良心は、自分自身を進歩向上させようといつも心の中から
働きかけている。だから、本心良心のささやきを無視していると、自
分の人生を誤ることになる。
・心を積極的にするには、日々を漫然と過ごすことなく、何事をするに
も注意深く心を使う習慣をつけることが大事である。
【中村天風先生考案の心の積極化法 その4】
・ここでは、「神経系統の安定法」を取り上げたい。
・「神経系統の安定」とは、どういうことか。それは、目や耳などの感
覚器官を通して外界から受入れた情報を正当に受け止めて、生命の安
全を確保することである。
・問題は、心の消極的な人は、感覚器官が受入れた情報がそのまま大脳
中枢に伝わらず、心にも体にも悪影響を及ぼすようになること。
・すなわち、神経系統の安定が出来ていない人は、本当は5から10の
衝動やショックが、心には100から200の衝動やショックとなっ
て伝わる。更に、それが肉体に返って来る時には500にも600に
もなって伝わって、心にも肉体にも甚大な影響を与えることになり、
精神的な病や肉体の病の原因となる。
・ここに、衝動やショックを受けた瞬間瞬間に、それを正当に心に受入
れる方法を学ぶ必要性が生じて来る。その正当に受け入れる方法は、
「クンバハカ法」と呼ばれている。
・どうやるかというと、それは、肉体の3つの部署を同時に処置するこ
とが必要である。つまり、肩の力を抜いて落とし、臍下丹田に気を込
め、同時に肛門を直腸の方へ締め上げるという体勢をとることである
・そうすることで、神経系統の働きが安定し、肉体をも強靭化すること
ができることになる。 (その3は、中村天風研究会の頁に掲載)
(中村天風著「真人生の探究」より)