【世のために尽くすとは、「誠心誠意」人々の協同幸福のために努力
すること】
①人間に課せられた厳粛な責務
・我々人間が、この現象世界に生まれた所因は、宇宙本来の目的である
進化と向上という尊厳なる事柄に順応するという使命を遂行するため
である。
・人間に課せられた厳粛な責務を考えると、「人の世のために尽くす」
というのは、とりもなおさず進化向上に順応する行為であり、人間と
して当然のことだと気付かされる。
・だから、使命遂行という当然のことをする場合、少しも「私心」があ
ってはならないことはまた当然のことである。
・ところが、広く世の中を見てみると、人の世のために尽くすように見
える行為でも、それが往々にして虚栄のためや、あるいは売名のため
になされるものが多い。
・甚だしいものになると、美名のもとに隠れて私利私欲を目的とするも
のさえある。
・「私心」とは、自己本位の心である。自己本位の心は、常に利害に対
して執着という相対的精神態度をとるために、その結果は利己的に陥
りやすい。
・カーライルは、「利己心は、すべての過失と不幸の源泉となる」と言
ったが、その言葉通りの事実が、正確に発生してくる場合が多いので
ある。
②誠心誠意をもってなされない行為
・私心=自己本位の心で諸事万事に対応すると、人の世のために尽くす
という尊い行為を完成するのに必要な「誠心誠意」というものが、そ
の中から発露して来ない。
・「誠心誠意」をもってなされない行為は、たとえそれがいかに立派そ
うに見えても、絶対に人の世のためになるという尊い結果を作り出さ
ない。
・ましてや、人々の協同幸福のために努力するには、崇高なる「克己
心」が何よりも必要である。
・「自己に克つ心」は、「精神精力の強調」を施さないと、到底その目
的を達することは出来ない。
・「精神精力の強調」は、心身統一の根本義である精神生命の対人生態
度の積極化にある。
・いずれにしても、自己本位の心で生きていると、しばしば自己の本能
や感情情念に負ける。そうなると、自己一個の存在さえ実に憐れなも
のになる。
・「真の人生幸福」は、自己を本位とする相対的意識の中から生じるも
のではなく、常に誠心誠意(本心良心)という調和を重んじる絶対意
識の中からのみ生じる。
・分かり易く言えば、我々人間の心が、お互いに自分以外の他の人々の
幸福を望む気持ちで一つに結ばれない限り、広い意味における人の世
の幸福は望んでも事実化されない。
・その為には、何よりも先ず他人に干渉しないで、差し当たって自己を
もっとより高く、もっとより尊く改造することに専念することだ。
・実際、ただこれ一筋でよい。そうすれば、必然的にこの目的は貫徹さ
れるに決まっている。
・現実として、天風道を長年学んでいるはずの人たちにも、「誠心誠
意」ということを学んでいない人は数多く見受けられる。
(天風哲学より適宜摘出)