中村天風研究会

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<今月の言葉>(2024年10月)

【中村天風の思想は、二つの視点から捉えると分かりやすい】
 ≪天風思想は、哲学的に見れば「気の哲学」であり、心理学的に見れ
  ば「積極精神の教え」である≫
(1)「気の哲学」とはどういうことか
①この宇宙及びこの宇宙に存在する一切のものは、すべて「気」によっ
 て創られ、「気」によって活かされ、「気」によって存在させられて
 いる。人間もその例外ではない。
イ.「気」とは、宇宙エネルギーであり、また生命エネルギーでもあり
  この宇宙で作用している「力」は、みな「気」から生まれている。
ロ.この宇宙を創造したものを「一元の気」、「元霊」、「先天の一
  気」などといい、天風哲学では「宇宙霊」と呼んでいる。
ハ.「宇宙霊」は、世間で呼ばれている「神、仏、如来、アラー、天之
  御中主神」とほぼ同じ概念である。
②人間の広義における「生命力」は、「気」の受入量に比例する。
イ.「生命力」は、「潜在力」ともいい、「体力、胆力、判断力、断行
  力、精力、能力」の六つの力に分類できる。
ロ.人間は、「生命力」が本当に充実すれば、何でも出来るように出来
  ており、自分の望む通りの人生が拓けて来る。
ハ.生命力に関して、次の三つのことが考えられる。
a.人間の生命力は、「気」の受入量によって、強くなったり弱くなっ
  たりする。
b.「気」の受入量は、人間の生存状態によって、多くなったり少なく
  なったりする
c.「気」の受入量は、しかるべき方法を実践すれば増大することが出
  来る。 その方法を「心身統一法」という。
ニ.「心身統一法」は、「第一義的人生道」であり、それは「本当の人
  間らしい生き方」を説かれたものである。
ホ.人間は、真の「人間らしい生き方」さえしておれば、「生命力」が
  充実して、幸福な人生に生きられるようになっている。
ヘ.また、人間は、宇宙の進化と向上に順応して生きておれば、特別の
  方法を実践しなくても「生命力」は自ずから発現する。なぜならば
  人間は、何の目的もなくこの世に生まれて来たのではなく、宇宙の
  進化と向上に順応して、この世の進化向上を実現するために生まれ
  て来たものだから。                   

(2)「積極精神の教え」とはどういうことか
①人間は、たとえ人生に苦痛や苦難があろうとも、心が積極的であれば
 それを喜びと感謝に振り替えて行くことが出来る。
②人間は、心が病や運命を気にしないという積極的状態である時、すな
 わち、心が無念無想に近い状態であれば、宇宙に隈なく遍満存在して
 いる幽玄微妙な「気」の持つ霊知を受入れる分量が多くなる。
 反対に、肉体や肉体から発生する本能や感覚に心が縛られ、心の融通
 性が極めて狭い消極的な心になると、その受入態勢を妨害することに
 なる。
③「消極的な心で生きる」とは、日常生活が感覚の世界ばかりに生きて
 いること、つまり、朝から晩まで、欲と感情と感覚に追い回されて、
 せかせか、あたふたと落ち着かない生活を送っていることをいう。
④「積極的な心で生きる」とは、折あるごとに、心を感覚の世界から遠
 く離して、感覚の世界を創った大本の宇宙の真実相の世界に心を預け
 入れ、静かな気持ちで生活することをいう。
⑤積極的な心とは、次のような心をいう。
イ.いつも明るく朗らかに活き活きと勇ましい心。 
ロ.どんな時にも虚心平気な心、何事にも着かず離れずこだわらない心
  の状態。
ハ.「晴れてよし曇りてもよし富士の山」という心持。
ニ.積極的な心は、「尊い心、強い心、正しい心、清い心」の四つに分
  類できる。
⑥心が積極的になれば、「気」の受入量が増大し、それに伴って「生命
 力」を充分に発現して生きられるようになり、自分の望む通りの人生
 が拓けて来る。
(3)人間はどんな存在か
①人間は、自分の心が宇宙の本質に合流合体しないと、真の幸福な人生
 を送ることはできない。 宇宙の本質と合体する心とは、絶対積極の
 心、雑念妄念のない心、無念無想の心をいう。
②真の人生幸福は、自己本位の相対的意識の中から生ずるのではなく、
 常に誠心誠意という調和享容の絶対意識の中からのみ生じる。
③アウグスチヌスの言葉:『人間の魂は、「精神」によって神の世界に
 繋がり、「肉体」によって動物、獣と繋がっている』
以上


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