NSJ住宅性能研究所

MENU 検索

許容応力度計算(木造住宅)シリーズ6

4号特例縮小とZEH壁量

■4号特例の縮小と「ZEH壁量(重量化対応の壁量)」が出てきた背景

脱炭素(CO₂削減)に向けて、建物の省エネ化が国の重要テーマになっています。

住宅は件数が多く影響が大きいので、特に木造住宅は政策の中心に置かれやすい分野です。

ただ、省エネ化(断熱強化・高性能サッシ等)が進むと、建物は 以前より重くなりがちです。

重くなると、地震のときに必要な耐力(=建物を支える力)も増えるので、従来のざっくりした壁量ルールだけでは安全側にならないケースが出ます。

そこで国は、木造の実態に合わせて 必要壁量や柱の小径の基準を見直し、2025年4月1日から施行しました。

同時に、これまで木造戸建で広く使われてきた「4号特例(審査省略制度)」の対象が縮小され、確認申請時に構造・省エネ関係の図書提出が求められる範囲が拡大しました。



■何が変わった?
(建築基準法6条まわり:建築確認・審査省略の見直し)

●これまで(改正前)の感覚

木造2階建て程度の戸建は、いわゆる「4号建築物」に入ることが多く、建築士が設計していれば、確認申請で構造審査が一部省略される(=これが「4号特例」)

●2025年4月1日以降(改正後)の要点

いわゆる「4号建築物」の整理が変わり、実務的には、

・「新2号建築物」
・「新3号建築物」

という区分で語られることが増えています。

●ざっくり言うと次のイメージです(戸建を想定)

・新2号建築物:
 木造2階建て、または木造平屋で延べ面積200㎡超 など
→ 原則、建築確認・検査が必要。さらに 審査省略の対象外になり、構造・省エネ図書の提出が求められる。

・新3号建築物:
 木造平屋で延べ面積200㎡以下
→ 地域条件(都市計画区域等)により扱いは分かれますが、少なくとも制度として、審査省略が残る範囲がここに寄る、という理解がしやすいです。

「木造だから簡単に済むよね」という扱いを減らして、確認申請で、「構造・省エネの根拠資料を見せてね」の範囲が広がった、ということです。


■構造計算が必要になる範囲が広がる
(建築基準法20条まわり:500㎡→300㎡など)

構造の安全確認は、ざっくり次の3段階で理解すると分かりやすいです。

・仕様規定:
 壁量、配置バランス、N値計算、柱の小径など、決められたルールを満たす(ルールに沿えばOK型)

・簡易な構造計算:
 主に 許容応力度計算(ルート1のイメージ)で安全性を確認

・高度な構造計算:
 より厳密な計算(許容応力度等計算、保有水平耐力計算等)や、超高層では時刻歴応答解析

●2025年4月1日以降、特に実務で効くポイント

木造の2階建て以下でも、延べ面積が300㎡を超えると「許容応力度計算」などの構造計算が必要になりやすい(改正前は500㎡が目安として語られる場面が多かった)

高さの区切りも整理され、木造の扱いは 高さ16m を一つの節目として語られます。

超シンプル表(木造のイメージ)

(※ここでは「高さ16m以下」をまず見て、次に面積と階数を見る、という順でOK)

・2階建て以下 × 延べ面積300㎡以下:仕様規定が基本
・2階建て以下 × 延べ面積300㎡超:許容応力度計算が必要側へ
・3階建て:許容応力度計算が必要側(さらに条件で上位の計算へ)
・4階建て以上:高度な構造計算側


■「ZEH壁量(重量化対応の壁量)」とは何か

●なぜ壁量が見直された?

省エネ住宅(ZEH水準等)では断熱材や外皮性能の強化で建物が重くなり、地震時の必要耐力が増えるため、従来の壁量ルールのままでは足りない可能性が出ます。

そこで、木造の今の実態に合わせて 必要壁量・柱の小径を、建物の荷重(重さ)に応じて算定できるように告示等が見直され、2025年4月1日から施行されています。

●何が変わった?(ポイントだけ)

以前のような単純な区分(例:「軽い屋根/重い屋根」)だけで決める方式をやめ、荷重の実態に応じて算定式で必要壁量を出す方向へ。

設計者が使えるように、早見表や表計算ツールなどの整備されています。

省エネで家が重くなった分、地震に負けないように、必要な壁の量(+柱の太さ)を重さに合わせて決め直すルールが2025年4月から本格適用になりました。


<まとめ>

●確認申請の世界:
 4号特例が縮小して、木造戸建でも 構造・省エネの根拠資料提出が必要になる範囲が拡大

●構造計算の世界:
 木造でも 300㎡超が一つの強い節目になり、許容応力度計算が必要になる建物が増える

●壁量(仕様規定)の世界:
 ZEH水準等の重量化に対応して、必要壁量・柱の基準を 重さに応じて見直す(ZEH壁量等)



次回は、ZEH基準の3つの方法について、お話します。

▲このページのTOPへ