NSJ住宅性能研究所

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許容応力度計算(木造住宅)シリーズ5

構造計算が必要な建物★

■前提:「仕様規定」と「構造計算」は別ルート

木造建築物の構造安全性の確かめ方は、大きく2つあります。

●仕様規定(決められた作り方を守る)
壁量、金物、耐力壁の配置、床・屋根(水平構面)の作り方など、法令や告示で決まった仕様を満たして安全を確保する方法

●構造計算(性能を計算で示す)
建物に地震力・風圧力がかかったときの力の流れ(応力・変形)を計算して、安全を確認する方法


■構造計算が求められる建物は、実務的に2パターン

結論から言うと、構造計算が必要になるのは次の2種類です。

●規模・用途などの条件で、法令上、計算が必須の建物

建物が大きい、階数が多い、または一定の条件に当たる場合は、仕様規定だけでは足りず、構造計算が求められます(具体条件は建物種別・規模で決まります)

●小規模でも、仕様規定から外したい(外れてしまう)建物

仕様規定は、この形・この作り方なら、普通は安全という前提で組まれています。

そのため、一部でも決められた仕様を、満たせない/満たさない場合は、別の根拠で安全性を示す必要が出ます。

国交省の説明資料でも、小規模でも仕様規定を満たせない場合は高度な構造計算で安全性を確認する、という考え方が示されています。



■例:施行令46条3項(床組・小屋組)で、火打ち等を省略したい場合

床や屋根は、地震時に建物が平面で、ねじれる/歪むのを抑え、耐力壁へ力を伝える重要部位です(水平構面)

施行令46条3項の具体仕様は、国交省告示(平成28年告示第691号)で示され、代表的には次のように整理できます。

・方法①:
 隅角に火打ち材を入れる
・方法②:
 所定の板材等を所定の釘ピッチ等で打ち付ける(+壁線間隔などの条件)

つまり、火打ちを入れないなら、代わりに告示の方法②などで、同等以上を満たす必要があります。

それも満たさない設計にするなら、同等以上の耐力があることを構造計算等で説明する必要が出てきて、結果として建物全体の計算に波及しやすい、という理解になります(床だけ計算して終わり、が難しいため)


■施行令46条2項(いわゆる2項ルート/集成材等建築物)の位置づけ

もう一つの代表例が 施行令46条2項 です。

これは、柱や梁など主要部材に 構造用集成材等(告示で定める品質基準) を使う場合などに関係し、材料品質の基準は 昭和62年建設省告示1898号(最終改正:令和2年) として整理されています。

このような場合、仕様規定の一部を、いつもの形では満たしにくい/扱いが変わるため、構造計算で安全性を確認する(=2項ルートの計算を行う)ことが前提になりやすい、という整理です。


■【重要:2025年4月1日施行】4号特例見直しで、審査のされ方が変わった

ここが最新反映ポイントです。

これまで木造戸建住宅の多くは、いわゆる4号特例により、建築確認での構造関係の審査が省略される扱いがありました。

しかし、法改正により 新2号・新3号 へ整理され、新2号は審査省略の対象外になり、確認申請時に構造・省エネ関連図書の提出が必要になりました。

国交省チラシの整理(要点):

・新3号建築物:
 木造平屋・延べ200㎡以下(一定範囲で現行と同様に一部図書省略を継続)

・新2号建築物:
 木造2階建て(典型的な戸建)や、木造平屋で延べ200㎡超など(審査省略の対象外+構造・省エネ図書が必要)

ここで大事なのは、

「新2号=必ず構造計算しなさい」ではなく、
「新2号=構造の適合確認(審査)を省略できない」

という点です(※いままでも計算は必要だったということです)

つまり仕様規定ルートでも、根拠図書を整えて審査されることになった、という変化です。


■構造計算をしたら、仕様規定が不要になるわけではない(原則)

最後に誤解が多い点です。

たとえ建物全体を構造計算したとしても、仕様規定側に、構造計算による場合は除く」等のただし書きがない限り、仕様規定は原則として守る必要があります。

一方で、限界耐力計算など、法令上、性能で示す枠組みを使う場合は、仕様規定をそのまま当てはめない整理になることがあります(=考え方が「仕様」から「性能」へ寄る)


<まとめ>

構造計算が必要になるのは、

①規模的に必須の建物
②仕様規定から外れる(外したい)建物

の2種類。

そして2025年4月1日以降は、特に木造戸建(新2号)が 、「審査される」 側に移ったので、仕様規定ルートでも根拠の作り込みが重要になった。



次回は、4号特例縮小とZEH壁量について、お話します。

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