NSJ住宅性能研究所

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許容応力度計算(木造住宅)シリーズ3

許容応力度計算と倍率の関係

構造計算(許容応力度計算)では、本来「壁倍率」という考え方は使いません。

ここで、許容応力度計算と壁量設計(壁量計算)の関係を整理しておきます。



■壁量設計は「仕様規定」、許容応力度計算は「構造計算」

壁量設計(壁量計算)は、建築基準法の体系でいうと施行令の仕様規定に入ります。

つまり、建物の地震・風に対する安全性を、壁の量と配置のルールで確認する方法であり、一般にいう「構造計算(応力計算)」そのものではありません。

一方、許容応力度計算は、部材に生じる力(応力)を計算し、
「存在応力 ≤ 材料の許容応力度」を満たすかで安全性を判断します。

地震力でも風圧力でも、建物に入る「力」を計算して、柱・梁・耐力壁・接合部などが耐えられるかを、N、kN、N/mm²、kN/m などの、力の単位でチェックします。


■「壁倍率」は壁量設計のための「指標」。
 構造計算の「単位」ではない

壁倍率は、耐力壁の強さを壁量計算で扱いやすくするための指標です。

実務では「壁倍率1倍=基準耐力1.96kN/m(=200kgf/m)」のように、一定のルールで「力」に換算できます。

そのため、許容応力度計算で本当に必要なのは本来、壁倍率そのものではなく、換算された壁の許容せん断耐力(kN/m など)や剛性といった、力学的な値です。


■それでもソフト入力に「壁倍率」が出てくる理由

木造住宅の許容応力度計算ソフトの多くは、ユーザーの入力を簡単にするために、耐力壁の仕様を「壁倍率」で入れさせることがあります。

しかしこれは、壁倍率が許容応力度計算にそのまま使えるという意味ではありません。

実際にはソフト内部で、壁倍率を基準耐力(kN/m)に換算したり、条件に応じた補正(例:階高3.2m超の筋かい壁は壁倍率を低減する等)を入れたりして、最終的には、力の計算として扱っている、という理解が正しいです。


■「床倍率」「接合部倍率」も同じ構図

床倍率や接合部倍率も、壁倍率と同様に、仕様規定の世界で、扱いやすくするための表現として広く使われる。

許容応力度計算の立場では、本来は「倍率」という言葉ではなく、床のせん断耐力・剛性、接合部の耐力(kN)など、力の単位で評価します。


<まとめ>

許容応力度計算は「N・kNで考える世界」です。

壁倍率などの「倍率」は、入力や仕様整理のために便宜的に登場しているだけです。

ここを混同すると、「壁倍率=構造計算の強度そのもの」と誤解しやすいので注意してください。



次回は、(★ちょっと上級向け)木造3階建てについて、お話します。

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