NSJ住宅性能研究所

MENU 検索

被災建築物応急危険度判定士シリーズ3

被災建築物応急危険度判定士が実際に行うこと(木造偏)

■(木造編)調査の進め方

木造の調査表は、だいたい次の流れで見ます。

Step0:まず「一見して危険か?」を遠目で確認

・ある程度離れた位置から、明らかに危険か判断する
・明らかに危険なら、近づかない(判定者の安全が最優先)
・「一見して危険」に該当したら、そこで調査終了(他項目は省略)



■(木造編)どこを見る?何を基準にする?

木造の、建物が倒れる危険は、主に次の観点でランク分けしていきます。

① 隣接建物・周辺地盤の危険

敷地が安全かどうかを見るイメージです。

例:隣の建物が倒れ込みそう、隣の斜面や崖が崩れそう、崖の上で地盤に亀裂がある等

被害を受けそうだけど危険の程度が不明ならBランク、という扱いも示されています。

② 不同沈下(建物が部分的に沈んで歪む)

・床にほとんど傾斜がない、など:Aランク
・軒先線・棟の線に歪みが見える、など:Bランク
・小屋組破壊+床全体の沈下、など:Cランク

③ 基礎の被害(+土台との関係)

単に基礎のひびだけでなく、土台とのズレなど、基礎が機能しているかを総合的に見る、とされています。


例:基礎の損傷は大きくないが、建物全体が土台からズレているなら、基礎が機能しないのでCランク扱い。

被害が「部分的ならB」「概ね全体ならC」のような考え方も例示されています。

④ 1階の傾斜(=層間変形角の目安)

下げ振りで「横ずれ d」を測って、階高 h で割って評価します。

目安(h=1200mmの例);

・A : d≦20mm   (d/h≦1/60)
・B : 20 ・C : d>60mm   (d/h>1/20)

さらに、計測した傾斜が小さくても、壁や建具の被害から、地震時にはもっと大きく変形していたと推測できるなら、被害状況から判定する考え方も書かれています。

⑤ 壁の被害

「外壁 or 内壁のうち、ひどい方」で判定。

外観調査だけなら外壁のみ。

・A:ひび割れなし、または僅か
・B:湿式壁の大きな亀裂・剥落/乾式壁の亀裂や剥落、など
・C:外壁面全体に大きな亀裂・剥落・破壊など、損傷が明瞭、など

⑥ 腐食・蟻害

土台や1階柱など、観察できる範囲で判定。

必要ならドライバーで確認が望ましいが、危険が伴う場合などは目視のみでもよい、という運用が示されています。


■落下・転倒(人に当たる危険)の考え方

屋根材、外装材、窓ガラス、設備機器、取付金物などを見て、「かなり危険」「ほとんど無被害」「中間」にランク分けする、という説明があります。

判定基準(要点);

・A:明らかに危険性がない
(例:落ちそうなものは既に全て落ちた、転倒物が既に倒れていて再転倒しない等)

・B:Cより危険性が低い/被害が比較的軽い
(例:割れたガラスが複数あり、余震で同様の損傷が増えそう等)

・C:すでに傾いている、支持材が壊れていて落下しやすい/転倒しやすい

判断のコツとして、「最も危険性が高いものは?」という視点で判断と明記されています。


次回は、仕様規定と構造計算について、お話します。

▲このページのTOPへ