NSJ住宅性能研究所

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架構計画シリーズ16

耐震診断・補強

■耐震診断とは?

既存の建物が、大きな地震で倒れないかをチェックすることが耐震診断です。

目的は、大地震で倒壊して命が失われるリスクを減らすことです。

木造住宅の耐震診断には、大きく3つのレベルがあります。

① 簡易診断(だれでもできる)

・築年数や建物の形などを見て、だいたいの危険度をつかむレベル
・「古い家は危なそう」など、傾向を知るためのもの

② 一般診断(建築の専門家が行う:最もよく使う)

・壁の量(耐力壁)などを計算して、地震に対する強さをチェック
・さらに、部材の古さ(劣化)も考慮する
・地盤・基礎の状態も確認する
・現場で床下や天井裏を見て、腐り、シロアリ。金物の有無などを判断する

③ 精密診断(さらに高度)

・より細かく、本格的な計算を行います。内容は2タイプある
・壁量計算や許容応力度計算に相当する検討(より精密に、どの部材がどれだけ耐えるか、まで診る)
・さらに高度な解析(保有水平耐力計算、限界耐力計算、時刻歴応答解析など)



■耐震補強とは?

耐震診断の結果を受けて、地震に強くするために建物を改修する工事が耐震補強です。

耐震性を上げる方法は、大きく3つあります。

① 強さを増やす(最も一般的)

・耐力壁を増やすのが基本
・壁を増やして、地震の力に耐えられるようにする

② 大きく揺れても壊れにくくする(粘り・追随性を上げる)

たとえば…
・壁や柱の接合部(金物など)を補強する
・腐った部材を交換する
・基礎に鉄筋を入れるなど基礎を強くする

ただし、接合部の補強は数が多くなりやすく、壁や天井の仕上げ材をはがして工事することが増えます。

③ 地震の力そのものを小さくする

たとえば…
・免震・制震装置を設置する
・屋根や外壁を軽くする(重いと地震力が増えるため)

免震化は、建物を持ち上げて基礎を作り直すような工事になるため、大規模で費用も大きくなりやすいです。


■耐震改修で大事な考え方

耐震改修は、強くすればOKではありません。

構造(安全)だけでなく、住みやすさ・デザイン・工事のしやすさ・費用もまとめて判断します。


■耐震診断のチェックポイント(一覧)

項目|チェックポイント

地盤・基礎|基礎にひび割れがある → 不同沈下の可能性
      鉄筋が入っているか
      基礎の形と配置が建物の構造と合っているか

建物の形|平面:L字・T字・コの字・大きな吹抜け など
     (ねじれやすい)
     立面:セットバック・オーバーハング など
     (力の流れが複雑)
     屋根:切妻・寄棟・入母屋 など
     (重さや形の影響)

耐力壁の配置|壁が片側に偏っていないか
       壁どうしの距離が離れすぎていないか
       (床との関係も大事)

耐力壁の量|建物の重さに見合う壁量があるか
      壁が途中(天井面など)で切れていないか
      小屋(屋根裏)に筋かい等があるか

接合方法|柱と土台、柱と梁の接合は適切か
     継手(つなぎ方)はどうか
     アンカーボルトがあるか、位置は適切か

老朽度(劣化)|水回りや床下・小屋裏が湿気っぽくないか
        木が腐っていないか
        シロアリ被害がないか


■現地調査の基本(なぜ床下と天井裏を見る?)

構造を把握するには、床下と天井裏を見るのが近道です。

・梁のかけ方は適切か
・壁の中身(筋かい・金物など)はどうなっているか
・柱と梁の接合部に問題がないか
・基礎・土台・束(床を支える部材)に傷みがないか


■耐震補強のよくある例

・屋根を軽くする(瓦葺き → 金属板へ、葺土を撤去など)
・屋根面・床面を固くする(野地板を構造用合板にするなど)
・合板で面をつくり、変形しにくくする
・柱や筋かいを追加する
・継手・仕口を金物補強(羽子板ボルト、短冊金物など)
・腐った部材は交換
・基礎を強くする
・土間コンクリートを打つ
・床下の環境改善
・換気を確保する(換気口など)



次回は、固有周期と共振現象について、お話します。

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