NSJ住宅性能研究所

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架構計画シリーズ10

セットバック・オーバーハング

1階と2階で耐力壁の位置がズレる建物は、地震の力の伝わり方が難しくなります。

そのため、

・床(水平構面)がちゃんと固い板として働くか(床倍率)
・力が集まるつなぎ目(接合部)が十分強いか

を特に注意します。



1) セットバックとは

2階が1階より小さくて、部分的にしか2階が乗っていない形を「セットバック」といいます。

●なぜ危険になりやすい?

建物に地震の横揺れ(水平力)が来ると、建物から飛び出した部分ほど大きく揺さぶられやすいです。

たとえば、次のようなケースがあります。

・1階が大きく、2階が小さい
→ 2階が出っ張り扱いになる
・ほぼ総2階だけど、1階に下屋(平屋の屋根)が付く
→ 下屋が出っ張り扱いになる

こういう「出っ張り」と本体が接する部分では、力が集中して接合部に大きな負担がかかる。

●もう1つの問題:耐力壁が上下でそろっていない

2階の外壁に耐力壁があるのに、その真下(1階)に耐力壁がないことがあります。

この場合、2階の耐力壁が受けた地震力を、どうやって1階側の耐力壁まで運ぶかを考えないといけません。

●対策(考え方はシンプル)

地震力は、

壁 → 床(または屋根・天井) → 壁

というルートで流れる。

そのため、セットバックでは、

・下屋の屋根面/天井面をしっかり固める
(水平剛性を上げる=床倍率を高くする)

・1階耐力壁 → 下屋屋根(天井)面 → 下屋耐力壁 がつながって働くように計画する

が基本の対策になります。


2) オーバーハングとは

2階が1階より大きくて、2階が外側に張り出している形を「オーバーハング」といいます。

張り出した部分は、構造的には片持ち梁(片側だけで支える梁)で支えることになります。

●なぜ注意が必要?

片持ち梁の先端には、普段から、

・屋根
・床
・外壁

などの重さ(鉛直荷重)がかかっています。

さらに地震が来ると、そこに、

・耐力壁の反力
・揺れによる追加の力(縦方向の影響も含む)

が加わり、梁にかなり厳しい条件になる。

特に危ないのは、片持ち梁の根元(支持点)です。

ここは曲げも反力も大きくなるので、

・柱のホゾ
・直交梁の取り合い

などで欠損(木を欠き取って弱くなること)をできるだけ増やさない配慮が必要です。

●壁量の注意点

たとえ梁を太くしても、耐力壁の直下に柱がないと、実際の働きとしては弱くなりやすいです。

そのため、2階の壁量は割り増して見ておくのが安全側です。

●さらに重要:床で力を運べること

2階の耐力壁が受けた水平力を、1階の耐力壁へスムーズに渡すには、
床(水平構面)が硬くて連続していることが必要です。

つまり、床面の水平剛性を高めることが有効です。


●セットバック

・耐力壁のある構面のつなぎ目には大きな軸力(引張・圧縮)が出る
→ 接合部を強く

・2階の壁の下に1階壁がないと、下屋の屋根、天井が柔らかい場合、力が下屋の壁へ伝わらず2階が大きく揺れる
→ 下屋の屋根/天井を固める+接合部に注意 が必要

●オーバーハング

・張り出しを支える片持ち梁の根元は重要
→ 欠損を避ける
・床面を固める(水平剛性アップ)
・袖壁などに耐力要素を入れる
・片持ち梁自体も 断面に余裕を持たせてたわみを小さくする



次回は、小屋裏と中間床について、お話します。

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