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1階と2階で耐力壁の位置がズレる建物は、地震の力の伝わり方が難しくなります。 そのため、 ・床(水平構面)がちゃんと固い板として働くか(床倍率) ・力が集まるつなぎ目(接合部)が十分強いか を特に注意します。
1) セットバックとは 2階が1階より小さくて、部分的にしか2階が乗っていない形を「セットバック」といいます。 ●なぜ危険になりやすい? 建物に地震の横揺れ(水平力)が来ると、建物から飛び出した部分ほど大きく揺さぶられやすいです。 たとえば、次のようなケースがあります。 ・1階が大きく、2階が小さい → 2階が出っ張り扱いになる ・ほぼ総2階だけど、1階に下屋(平屋の屋根)が付く → 下屋が出っ張り扱いになる こういう「出っ張り」と本体が接する部分では、力が集中して接合部に大きな負担がかかる。 ●もう1つの問題:耐力壁が上下でそろっていない 2階の外壁に耐力壁があるのに、その真下(1階)に耐力壁がないことがあります。 この場合、2階の耐力壁が受けた地震力を、どうやって1階側の耐力壁まで運ぶかを考えないといけません。 ●対策(考え方はシンプル) 地震力は、 壁 → 床(または屋根・天井) → 壁 というルートで流れる。 そのため、セットバックでは、 ・下屋の屋根面/天井面をしっかり固める (水平剛性を上げる=床倍率を高くする) ・1階耐力壁 → 下屋屋根(天井)面 → 下屋耐力壁 がつながって働くように計画する が基本の対策になります。 2) オーバーハングとは 2階が1階より大きくて、2階が外側に張り出している形を「オーバーハング」といいます。 張り出した部分は、構造的には片持ち梁(片側だけで支える梁)で支えることになります。 ●なぜ注意が必要? 片持ち梁の先端には、普段から、 ・屋根 ・床 ・外壁 などの重さ(鉛直荷重)がかかっています。 さらに地震が来ると、そこに、 ・耐力壁の反力 ・揺れによる追加の力(縦方向の影響も含む) が加わり、梁にかなり厳しい条件になる。 特に危ないのは、片持ち梁の根元(支持点)です。 ここは曲げも反力も大きくなるので、 ・柱のホゾ ・直交梁の取り合い などで欠損(木を欠き取って弱くなること)をできるだけ増やさない配慮が必要です。 ●壁量の注意点 たとえ梁を太くしても、耐力壁の直下に柱がないと、実際の働きとしては弱くなりやすいです。 そのため、2階の壁量は割り増して見ておくのが安全側です。 ●さらに重要:床で力を運べること 2階の耐力壁が受けた水平力を、1階の耐力壁へスムーズに渡すには、 床(水平構面)が硬くて連続していることが必要です。 つまり、床面の水平剛性を高めることが有効です。 ●セットバック ・耐力壁のある構面のつなぎ目には大きな軸力(引張・圧縮)が出る → 接合部を強く ・2階の壁の下に1階壁がないと、下屋の屋根、天井が柔らかい場合、力が下屋の壁へ伝わらず2階が大きく揺れる → 下屋の屋根/天井を固める+接合部に注意 が必要 ●オーバーハング ・張り出しを支える片持ち梁の根元は重要 → 欠損を避ける ・床面を固める(水平剛性アップ) ・袖壁などに耐力要素を入れる ・片持ち梁自体も 断面に余裕を持たせてたわみを小さくする
次回は、小屋裏と中間床について、お話します。
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