NSJ住宅性能研究所

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架構計画シリーズ9

L形・コの字形

■L字形・コの字形の建物は、壁の配置バランスに注意

形が複雑な建物(L字形・コの字形)は、建物全体をひとまとめで考えるのではなく、長方形のかたまり(ブロック)に分けて、ブロックごとに耐力壁の量と配置を整えることがポイントです。

出隅(外側の角)と入隅(内側の角)は力が集中しやすいので、接合部のつくり方に注意しましょう。


■耐力壁が偏りやすい代表的な形:
 L字形とコの字形

L字形やコの字形の建物は、形が入り組んでいるぶん、壁(耐力壁)がある場所とない場所が偏りやすいです。

その結果、地震のときに建物がねじれたり、特定の部分だけ大きく揺れたりしやすいです。

そのため、こういう形の建物では、

建物全体で「壁が足りているか」だけ見るのではなく
→いくつかのブロックに分けて、それぞれで壁量を満たす
→さらに、ブロック同士のバランスもそろえる

という考え方が重要になります。


① L字形:
  先端が揺れやすいので、2つの長方形に分けて考える

L字形には、出っ張った部分があるため、地震の横揺れが来ると、出っ張りの先端が大きく振られやすいです。

木造は特に床が変形しやすい(=水平構面が柔らかい)ので、L字形では壁の配置がかなり重要です。

そこで、L字形はたとえば

・長方形A
・長方形B

のように2つのブロックに分けて、AでもBでも壁量を満たすように計画します。

ブロックの分け方は、縦に切っても横に切ってもよいです。

② コの字形:
  3つの長方形に分けて考える

コの字形も同じで、建物をまとめて考えるのではなく、

・A
・B
・C

のように、長方形のブロックに分けて壁量と配置を確認します。

分け方は、平面上で縦方向に3分割でも、横方向に3分割でもOKです。

建物の平面や屋根形状などを見て判断します。


■「安全率」の差が大きいと、境目が壊れやすい

ここで大事なのが、壁量の安全率です。

安全率 = 存在壁量 ÷ 必要壁量
(ざっくり言うと、必要な壁に対して、どれくらい余裕があるか)

L字形は、紙をL字に切ると、内側の角(入隅)から裂けやすいのと同じで、建物でも入隅に力が集まり、壊れやすい。

さらに、ブロックAとBなどで、

・片方は安全率が高い(壁が多くて揺れにくい)
・もう片方は安全率がギリギリ(壁が少なくて揺れやすい)

という差が大きいと、揺れ方が違ってしまいます。

その結果、境目付近で次のようなトラブルが起きやすいです。

・接合部が外れる
・外壁にひびが入る
・雨漏りしやすくなる

そのため、可能なら各ブロックの安全率が近い値になるように計画すると良いです。

※ただし、どのブロックも安全率が十分高いなら、変形自体が小さいので神経質になりすぎなくてもよいと思います。


■境界にある耐力壁は半分ずつカウントする

ゾーニング(ブロック分け)したとき、ブロックの境界線上にある耐力壁は、

・AとBの境なら Aに1/2、Bに1/2
・A・B・Cの境なら 隣り合うブロックに1/2ずつ

のように、公平に割り振って計算します。


■重要な注意:
 先端部に耐力壁がないと、床を固めても大きく揺れる

L字形・コの字形の端っこ(先端)の近くに耐力壁がないと、たとえ床を固めても、先端が大きく振られてしまう。

そのため、端部付近にも耐力壁を配置することが重要です。


次回は、セットバック・オーバーハングについて、お話します。

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