NSJ住宅性能研究所

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架構計画シリーズ5

木造の構造計算ルート

■木造の構造計算ルートってなに?

木造建物が地震や台風で壊れないようにするには、ざっくり言うと次の2通りで安全を確かめます。

●仕様規定(チェックリスト方式)

・この壁をこれだけ入れる
・柱はこの太さ以上
・金物はこう付ける

みたいに、国が決めたルールに沿って確認する方法です。

●構造計算(数字とモデルで証明する方式)

建物にかかる力(地震力・風圧力など)を計算し、部材や接合部が耐えられることを数値で示す方法です。

建物が大きい・特殊・高いほど、こちらが必要になります。


■まず大事:
2025年4月1日から、確認申請の扱いが変わった

これまで木造2階建てなどでよく使われていた、いわゆる4号特例(審査省略)は範囲が縮小されました。

原則として、審査省略が残るのは、平屋・延べ200㎡以下などの小規模に限られ、それ以外は確認申請で構造関係図書の提出・審査が必要になります。

さらに、都市計画区域外でも、条件によっては確認申請の対象が広がっています。

■仕様規定側もアップデート:
壁量・柱の基準が、実態に合わせる方式に

省エネ化で建物が重くなりやすい流れを踏まえ、木造戸建ての安全確認ルールも更新されました。

・重い屋根/軽い屋根みたいな大ざっぱ区分は廃止
・代わりに、建物の荷重の実態に応じて、「必要な壁量」や「柱の小径」を式などで算定する方向に見直し

国交省通知では、必要壁量を算定式で求める考え方や、準耐力壁の扱いなども整理されています。

なお、2025年4月1日〜2026年3月31日に着工する一定条件の木造については、壁量・柱小径に、経過措置(改正前基準も可)が用意されています。



■「構造計算ルート」って何段階あるの?

構造計算の世界では、建物の規模・高さ・形の複雑さに応じて、必要な計算の難しさが上がります。

代表的には次のイメージです。

●ルート1:許容応力度計算(基本の構造計算)

・梁や柱に生じる力が、許容値以内かを確認する、構造計算の基本
・木造3階でも一定条件ならルート1で設計できる範囲が拡大し、例えば高さが16m以下の範囲で整理されている(条件によって追加チェックあり)

●ルート2:許容応力度等計算(より厳しい確認が追加)

ルート1に加えて、

・層間変形角(揺れによる変形)
・偏心率(ねじれやすさ)
・剛性率(階ごとの硬さの偏り)

など、建物全体の揺れ方のクセまで確認するイメージ

●ルート3:保有水平耐力計算(大地震でも粘って倒れないを確認)

ルート2の条件を満たせない場合などに、建物が大地震でどこまで耐えられるか(最終的な強さ)を確認する考え方

●それ以外:限界耐力計算・時刻歴応答解析(さらに高度)

・損傷限界
・安全限界

など、性能をより直接的に評価する方法(限界耐力計算など)

時刻歴応答解析は入力地震波を使って時間ごとの揺れを追う解析で、モデル化や前提条件が難しくなります。


■3階建て以上は、原則、構造計算が必要

国交省の整理でも、地上3階以上の木造は法令上、構造計算が必要であることが明示されています(そのうえで、仕様規定の壁量計算は不要になる整理もあります)


■「高度な計算」や「大臣認定プログラム」は審査も追加で厳しくなる

計算が高度になると、確認審査に加えて、構造計算適合性判定(いわゆるピアチェック)の対象になることがあります。

対象の考え方としては、例えば

・ルート2・ルート3・限界耐力計算等を行った場合
・大臣認定プログラムを使った場合
・一定規模以上(木造なら階数や高さ要件など)

…といった整理が一般的です。


■準防火地域と層間変形角1/150について(※補足。誤解しやすい点)

準耐火構造などで防火被覆の安全性を確保する観点から、層間変形角の扱いが問題になるケースがあります。

国交省の通知でも、1/150を境にした考え方(計算・実験で確かめる等)が説明されています。



次回は、鉛直構面について、お話します。

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