NSJ住宅性能研究所

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架構計画シリーズ4

解析方法

構造計算の基本は許容応力度計算です。

限界耐力計算や時刻歴応答解析はより高度な方法なので、どんな建物に向くか(適用範囲)や、建物をどう単純化してモデル化するかに注意が必要です。


■構造計算の検証方法

構造計算にはいくつか方法がありますが、一般に

許容応力度計算 →(より高度に)→ 限界耐力計算 → 時刻歴応答解析

の順で、扱う内容が複雑になります。

ここでは代表的な3つを説明します。


① 許容応力度計算(いちばん基本)

もっとも標準的で、構造計算の土台になる方法です。

●何をしている?

・建築基準法で決められた 荷重(重さや地震力など) を用意する
・建物を骨組みとしてモデル化して、その荷重をかける
・梁、柱、接合部などに発生する 応力(曲げ・軸力など) を計算する
・その値が 許容できる範囲(許容応力度)以下 かを確認する
・さらに、変形が大きすぎないか もチェックする

●地震について

・中地震レベルでは、壊れない(大きな損傷が出ない)ことを確認
・保有水平耐力計算は、大地震レベルを確認する考え方で、許容応力度計算の延長にある検証と理解すると分かりやすい


② 限界耐力計算(建物を1つの塊として見る)

建物全体を、かなり単純化して評価する方法です。

●何をしている?

・建物を 1つの振り子のようなモデル(=一質点系) に置き換える
・そのうえで、建設地の地盤特性を考慮した地震動を与え、揺れの大きさを計算する
・地震動は2段階
 〇稀に発生する地震(中地震)
 〇極めて稀に発生する地震(大地震)

それぞれについて、建物の変形が、

・損傷限界(あまり壊れてほしくない)
・安全限界(倒壊などの危険がない)

の範囲内かを確認する。

●注意点(ここが大事)

この方法は、建物を1つの塊とみなすので、向いているのは 性質が比較的そろった建物 です。

逆に、次のような建物は単純化が難しいため、慎重な検討が必要です。

・偏心が大きい(左右で壁量や剛性が偏っている)
・L字形・コの字形などの非対称な平面
・セットバック(上階が引っ込む形)など形が複雑

③ 時刻歴応答解析(地震波を時間で追いかける)

より現実に近い形で、建物の揺れ方を細かく調べる方法です。

●何をしている?

・建物を 複数の塊が連なるモデル(=多質点系、串団子みたいなイメージ) にする
・過去の実地震などの 特定の地震波 を入力する
・すると、時間ごとの、
 〇変形(どれだけ揺れたか)
 〇応答せん断力(内部に生じた力)
を計算できる
・その最大値が、
 〇中地震では損傷限界内(基本は弾性範囲)
 〇大地震では安全限界内(目標値以内)
に収まっているかを確認する

●②より精度が高い理由

一質点系よりも情報量が多い 多質点系モデル なので、建物の揺れ方をより細かく再現できます。


■②③に共通して必要なもの:荷重ー変形曲線

限界耐力計算や時刻歴応答解析を行うには、建物が「どれくらいの力で、どれくらい変形するか」という関係(=荷重ー変形曲線)が必要です。

そして、その曲線を作るには基本的に

耐力壁などの試験データ(実験で得られた性能)

が必要になります。

つまり、②③は、計算が高度というだけでなく、必要な前提データも多い方法です。



次回は、木造の構造計算ルートについて、お話します。

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