NSJ住宅性能研究所

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床組・小屋組シリーズ2

根太・根太レス 床

根太(ねだ)の掛け方や、床板の張り方は、

→ たわみにくさ(鉛直荷重への強さ)
→ 床の固さ・一体感(水平剛性)

どちらにも影響します。


■根太床とは?

床の基本的なつくりは、床梁(ゆかばり)+床板 です。

床梁の上に根太と呼ばれる細い材を並べて、その上に床板を張る工法を根太床(根太組み床)と言います。

根太の掛け方には、主に次の3種類があります。

①落し込み
②半欠き(渡り腮)
③転ばし

●鉛直荷重だけを見ると、上からの重さ(人・家具・自重など)に対する強さだけを考えて、

・半欠き や 転ばし のように梁の欠き込みが小さい
・梁と根太の断面欠損が少ない

方が、梁が弱くなりにくく、たわみも小さくて施工もしやすい、というメリットがあります

●水平剛性だけを見ると、地震や風などによる水平方向の力に対する床の固さ(水平剛性)だけを考えて、

・根太が転ばないように固定されている
・床板が床梁にも直接取り付く

という条件の方が有利です。

そのため、

・梁を欠き込んで根太を落とし込み
・床板も梁に直接留められる

「落し込み」の方が、水平剛性は高くなりやすいと言えます。

つまり、床の水平剛性には、根太の掛け方も効いてくる、ということです。



■半欠き・転ばしで水平剛性も高めたい場合

「半欠き」や「転ばし」は、鉛直荷重に対しては有利ですが、そのままだと根太が転びやすく、床の水平剛性が不足しがちです。

そこで、次のような工夫をします。

床板と梁(小屋の場合は野地板と桁・母屋・棟木)のすき間を埋木、面戸板などで埋めて、根太(または垂木)の転びを防ぐ

特に、耐力壁があるライン(構面)には大きな軸力が流れるので、
このような転び止めの工夫が重要になります。


■根太レス床とは?

最近は施工の効率化のために、根太を省略した工法が増えています。

根太を使わず、厚い製材板や構造用合板を床梁に直接釘で留める

こうした床のつくり方を「根太レス床」と呼びます。

もともとの目的は、作業を簡単にして工期短縮・コストダウンを狙うことですが、構造的にもメリットがあります。

根太自体がない
→ 根太の転びがそもそも発生しない

その結果、
→ 床全体の水平剛性が高まりやすい

という効果があるのです。


■根太レス床の張り方と注意点

床板を張る方向は、基本的に、

・梁の間隔が狭い方向(約900mmピッチ)をまたぐように
・床板の繊維方向が梁と直交する方向になるように

構造用合板も同様で、表面の繊維方向が短辺方向となるように張ります(これは板が一番強くなる方向で力を受けるためです)


■水平剛性をさらに高める方法(床板の落し込み)

床の水平剛性をもっと高めたい場合、床板を梁に、落とし込んで張る方法もあります。

ただし、この方法にはデメリットがあります。

・床板の厚さを40mm程度にする必要がある
・非常に高い施工精度が必要
・木材の乾燥状態
・寸法精度

などをシビアに管理しなければならないため、実務的にはかなりハードルが高い工法です。


■根太床のバリエーション

①落し込み
・床梁を欠き込んで、その中に根太を落とし込む
・床板は、その上に張る

②半欠き(渡り腮)
・床梁、根太の両方を少しずつ欠き込む
・そこに根太を渡し、上に床板を張る

③転ばし
・根太を床梁の上にただ載せる
・梁・根太ともに欠き込みがないので、断面欠損がないのが特徴
・その上に床板を張る


■根太レス床のバリエーション

1⃣根太レス直張り
・30mm以上の厚い床板を、床梁に直接釘で留める
・根太がないため、不陸(高さのバラつき)調整ができない
→ 床梁側の寸法精度をかなり高くする必要がある

2⃣根太レス落し込み
・床梁の上端を欠き込み、その中に厚い床板を落とし込んで釘留めする
・水平剛性は高い
→ しかし、非常に高い施工精度が必要な、上級者向けの工法と言える

・鉛直荷重に強いか
・水平剛性が高いか
・施工性が良いか

のバランスで、根太床・根太レス床や、各バリエーションを使い分けるイメージです。



次回は、火打ちについて、お話します。

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