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■土壁・落とし込み板壁 土壁: 下地(竹や木)と土がしっかり密着していること+中塗りのかたさが大事 落とし込み板壁: 板がよく乾燥していること+板どうしがずれない工夫が大事 ■土壁とは? 土壁は、貫(ぬき)を3〜4本入れた柱・梁の骨組みに、その上から、 ・竹や木の小舞(こまい)(=下地になる格子状の部材)を組み ・小舞の上に土を塗りつけてつくる壁 のことです。 昔から使われてきた湿式の壁で、つくり方によって強さがかなり変わるのが特徴です。 昔は耐力を数値で評価しにくかったのですが、最近では試験データが増え、耐力壁としても認められるようになってきました。
■土壁に使う土と塗り方の段階 土壁に使う材料は、 ・粘土 ・ワラすさ ・水 などを混ぜたものです。 塗るときは、一般的に3段階に分けます。 ・荒壁(あらかべ):一番最初の土 ・中塗り:ひび割れを埋め、かたさを出す層 ・上塗り:仕上げの層(見た目を整える) ■土壁の構造的なキーポイント(3つ) 土壁が構造的にちゃんと効く壁になるためには、次の3つが重要です。 ①小舞と骨組み(柱・梁・貫)が一体になっていること ・木小舞の場合:釘でしっかり固定する ・竹小舞の場合:柱や横架材に差し込んだり、貫に釘打ちして、小舞が骨組みからずれないようにする ②土が小舞にしっかり付着していること 荒壁を塗るときに、「小舞にまとわりつく」イメージで、きちんと食いつくように塗るのが大事 ③中塗りが、ひび割れなどのスキマをしっかり埋めていること ・荒壁に十分ひび割れを起こさせてから、そのスキマを埋めるように中塗りをする ・中塗りは「壁のかたさ」をつくる重要な層で、構造的にとても大切 地震などで被害を受けたとき、中塗りの部分が剥がれ落ちることがありますが、その部分がしっかり耐力を発揮した結果ともいえます。 ■土壁の仕様イメージ 細かい数値は専門家向けですが、イメージしやすいように整理すると、 ●土の種類: 荒木田土、荒土、京土など「粘りのある砂質粘土」 ●荒壁: 土100Lあたり、ワラすさ約0.4〜0.6kgを混ぜて、両面から塗る ●中塗り: 土100Lあたり、ワラすさ約0.4〜0.8kgを混ぜる ●間渡し竹: 柱や梁に端部を差し込み、貫に釘で固定 ●小舞竹: 割竹(幅20mm以上)などを約45mmピッチ以下で並べ、シュロ縄などで間渡し竹にくくりつける ●貫: ・厚さ15mm以上、幅100mm以上 ・間隔は910mm以下で、3本以上設ける …といったルールで、「骨組み+竹+土」が一体となるように設計・施工します。 ■落とし込み板壁とは? 落とし込み板壁は、柱と柱の間に厚い板を上から落とし込んで積み重ねていく壁です。 ●柱間: 1,800〜2,300mm程度 ●使用する板: ・厚さ:27mm以上 ・幅:130mm以上 ・含水率:15%以下(=よく乾燥させた板) 板と板の継ぎ目にはダボを入れます。 ・ダボ: 木材(15mm角または直径15mm以上)または鋼材(直径9mm以上) ・本数: 3本以上 ・間隔: 620mm以下 ダボは、地震時などに水平方向の力がかかったとき、板どうしがズレないようにするための重要な部材です。 ■落とし込み板壁の注意点と性能 ●板の乾燥が超重要 板の乾燥が不十分だと、工事後に板が縮んでしまい、 ・柱や横架材との間にスキマができる ・壁としての一体性が弱くなる ・その結果、耐力が低下する といった問題が起きます。 そのため、含水率15%以下のよく乾燥した板を使うことが前提になります。 ●ダボによる「ずれ防止」 板の継ぎ目ごとにダボを入れておくことで、 ・水平力を受けても、板どうしがずれにくくなる ・壁全体として「一体の板」のように働き、粘り強く耐力を発揮してくれる <まとめ> ●土壁 ・小舞と骨組みの一体化、土の付着、中塗りのかたさ → この3つが、構造性能を左右する重要ポイント ・正しく施工すれば、試験データに基づき、耐力壁として評価可能 ●落とし込み板壁 ・よく乾燥した厚板を、柱間に落とし込んで積み上げる壁 ・ダボで板どうしのずれを防ぎ、水平力に対して粘り強く抵抗する ・施工ポイント(乾燥・ダボ配置など)を守れば、非常に頼れる耐力壁になる
次回は、ラーメン架構について、お話します。
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