NSJ住宅性能研究所

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構造壁シリーズ4

面材壁と釘

面材壁の強さ(耐力)は、

・どんな面材を使うか
・どの釘を、どんなピッチ(間隔)で打つか

でほとんど決まります。

→ 図や仕様書に書いてある、釘の太さ・長さ・間隔、をきちんと守ることが、とても大事です。


■面材壁とは?

面材壁とは、

・構造用合板
・石膏ボード

などの板(面材)を、柱・間柱・梁(横架材)に釘で留めた壁 のことです。

面材壁の強さは主に2つで決まります。

・面材そのものの、かたさ
・面材を留めている、釘の太さ・長さ・間隔


■水平力がかかったとき、面材には何が起こる?

地震や風で水平力がかかると、柱と梁でできた四角い枠(軸組)が、だんだんひし形のように変形します。

それに合わせて、貼ってある面材もぐにゃぐにゃと波打つように変形します。

面材が壁の面から外側・内側にボコボコ変形する現象を 面外座屈 と呼びます。

このとき、面材を留めている釘には、面材から釘を引き抜こうとする力がかかります。

これに対して抵抗してくれるのが、次の2つです。

・釘と木材の間の摩擦力
・釘頭が面材にめり込むときの抵抗力(めり込み耐力)

■釘と木材の間にはたらく力

● 釘と木材の「摩擦力」

釘1本あたりで見ると、摩擦力は、

・釘の太さ(径)
・木材に打ち込まれている長さ

によって決まります。

・釘が太いほど
・長く深く打ち込まれているほど

木材と触れ合う面積が増え、摩擦力も大きくなります。

つまり、太くて長い釘ほど「抜けにくい」ということです。

● 面材に対する「釘頭のめり込み耐力」

もう1つは、「釘頭」と「面材」の関係です。

釘頭のめり込み耐力は、

・面材のかたさ
・釘頭の大きさ

に影響されます。

釘頭が大きいほど、面材に当たる面積が大きくなり、めり込みにくくなります。

逆に、釘頭が小さいと、面材にグイグイ食い込んで、最終的に貫通してしまうおそれがあります。

構造用合板の表面は比較的やわらかいので、釘頭が小さいと、すぐに板にめり込んでしまいます。


■釘打ち機を使うときの注意

面材を釘打ち機(エア釘打ち機など)で留める場合は特に注意が必要です。

圧力が強すぎると、釘頭が深く入り込み、面材を突き抜けるような状態になってしまいます。

そうなると、面材を押さえる力がほとんどなくなり、耐力が低下します。

機械の圧力を調整して、釘頭が面材に食い込みすぎないようにすることが大切です。


■面材の端から釘までの距離(端距離)も重要

もうひとつの重要ポイントが、端距離です。

端距離=「面材の外周(端部)から、釘の位置までの距離」

この距離が短すぎると、釘の位置から面材が割れたり、破れたりしやすくなります。

特に、石膏ボードのようにもろく崩れやすい面材では、端距離不足が致命的です。

一般的には、面材の端から釘までは 20mm 程度必要とされています。


■大壁と真壁で何が違う?

面材壁には、大きく2つの納まりがあります。

・大壁
面材を柱や梁に直接釘打ちして、室内から柱が見えないタイプの壁

・真壁
柱型を見せる日本的な納まりで、面材は柱の内側の受け材などに留めることが多い

この2つでは、水平力がかかったときの力の流れ方が少し違います。

その違いが、最終的な耐力の違いにもつながります。

大壁か真壁かは、デザインだけでなく、構造性能にも影響するということを覚えておきましょう。


■説明

① 面材を張った軸組

・柱と梁(横架材)でつくられた枠に構造用合板を釘で張った状態
・面材の端部には「端あき(端距離)」がとられている

② 水平荷重時の変形

・水平力がかかると、軸組がひし形に変形
・面材が波打つように変形し、釘が浮き上がったり、引き抜けたりしてくる
・釘の径・長さ・ピッチの仕様がとても重要

③ 構造用合板を張った軸組の破壊状況

・釘が外れ気味になっている
・板が波打っている

④ 真壁仕様の面材壁

・柱や梁(横架材)が見えていてその内側に受け材を入れ、そこに構造用合板を釘留めしている
・変形したときには、この受け材に打った釘が引き抜かれやすくなる


<まとめ?

面材壁の強さは、板(面材)そのものだけでなく、どんな釘を、どの位置・ピッチで打つか、が決定的に重要です。

釘の、

・太さ(径)
・打ち込み長さ
・頭の大きさ
・面材の端からの距離(端距離)
・釘打ち機の圧力調整

こうした条件が少し狂うだけで、実際の耐力は大きく低下します。

図面や仕様書に書いてある、釘の種類・ピッチ・端距離、の指定は、
構造安全を守るための“ルールです。

施工の現場では、ここを軽く見ないことがとても大事です。



次回は、貫壁について、お話します。

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