NSJ住宅性能研究所

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軸組と接合部シリーズ24

手刻みとプレカット

■用語

刻み:
ノミやノコなどの手道具で木材を削って、接合部分の形を作ること

墨付け:
どこを削るか、どこに穴をあけるかなどの目印を木に書くこと

木を読む:
木目・節・反り・ねじれなど、一本ごとの性格を見て、最適な使い方を判断すること


■「手刻み」と「プレカット」2つの加工方法のちがい

・手加工(手刻み)

大工が木を見極めながら、道具で一つずつ形を作る。

乾燥で縮むことを見越して寸法を微調整できる。

寸法は曲尺(さしがね)の幅=15mmの倍数で決まることが多い(現場での共通ものさしに合わせやすい)

・プレカット(機械加工)

工場の機械がCADデータどおりに自動で加工。現場は組み立てが中心。

木材はよく乾燥させ、断面を直角に製材してから加工するのが前提。

ルーター(回転ドリル)で削るため、角(隅)が丸くなる(アール)形状になりやすい。

標準的な形には強いが、特殊形状は手刻みで補うこともある。


■部位ごとのイメージ(表)

部位 | 手加工(手刻み) | プレカット

胴差し—柱 | 木目や節を見て、抜けや割れが出にくい向きで加工 | CAD通りの標準形状で精度よく量産

梁—梁 | 現場の誤差に合わせて微調整しやすい | 事前の設計通りにぴったり合う前提

渡り腮(わたりあご) | 密着具合を手仕事で追い込める | 安定した再現性。角はやや丸めになりやすい

継手 | 伝統形状や複雑な形も対応しやすい | 主要な継手は対応、特殊形は追加手刻み


■その他の注意点

手刻み:
乾燥収縮を見越した遊びや締めの調整がしやすい。寸法は15mm刻みが基本になりやすい。

プレカット:
乾燥・直角・規格寸法が前提。ルーター加工ゆえ角がRになる。


■なぜ「木を読む」が大切か

・木は一本ごとにクセがある(節・割れ・年輪の向き・反りなど)

・重要な場所(柱頭柱脚、梁端、継手周りなど)に欠点が来ないよう、目視と判断が不可欠

・機械は速くて正確だが、木の個性を見ることはできない。最終チェックは人の役割


■最近のトレンド

工期短縮・職人不足の影響で、プレカットが主流。

ただし、特殊な納まりや現場の微調整は、今も手刻みの出番。

結論:
プレカットの効率+手刻みの目利きを組み合わせるのが実務的。


<まとめ>

・プレカット=速い・均一・設計通り。ただし角がRになりがち、乾燥・直角が前提。

・手刻み=調整力・対応力・木読みに強い。収縮やクセを踏まえてベストな加工ができる。

いずれにしても、構造上重要部は人の目で確認することが欠かせないです。



次回は、耐力壁の役割について、お話します。

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