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■用語 刻み: ノミやノコなどの手道具で木材を削って、接合部分の形を作ること 墨付け: どこを削るか、どこに穴をあけるかなどの目印を木に書くこと 木を読む: 木目・節・反り・ねじれなど、一本ごとの性格を見て、最適な使い方を判断すること
■「手刻み」と「プレカット」2つの加工方法のちがい ・手加工(手刻み) 大工が木を見極めながら、道具で一つずつ形を作る。 乾燥で縮むことを見越して寸法を微調整できる。 寸法は曲尺(さしがね)の幅=15mmの倍数で決まることが多い(現場での共通ものさしに合わせやすい) ・プレカット(機械加工) 工場の機械がCADデータどおりに自動で加工。現場は組み立てが中心。 木材はよく乾燥させ、断面を直角に製材してから加工するのが前提。 ルーター(回転ドリル)で削るため、角(隅)が丸くなる(アール)形状になりやすい。 標準的な形には強いが、特殊形状は手刻みで補うこともある。 ■部位ごとのイメージ(表) 部位 | 手加工(手刻み) | プレカット 胴差し—柱 | 木目や節を見て、抜けや割れが出にくい向きで加工 | CAD通りの標準形状で精度よく量産 梁—梁 | 現場の誤差に合わせて微調整しやすい | 事前の設計通りにぴったり合う前提 渡り腮(わたりあご) | 密着具合を手仕事で追い込める | 安定した再現性。角はやや丸めになりやすい 継手 | 伝統形状や複雑な形も対応しやすい | 主要な継手は対応、特殊形は追加手刻み ■その他の注意点 手刻み: 乾燥収縮を見越した遊びや締めの調整がしやすい。寸法は15mm刻みが基本になりやすい。 プレカット: 乾燥・直角・規格寸法が前提。ルーター加工ゆえ角がRになる。 ■なぜ「木を読む」が大切か ・木は一本ごとにクセがある(節・割れ・年輪の向き・反りなど) ・重要な場所(柱頭柱脚、梁端、継手周りなど)に欠点が来ないよう、目視と判断が不可欠 ・機械は速くて正確だが、木の個性を見ることはできない。最終チェックは人の役割 ■最近のトレンド 工期短縮・職人不足の影響で、プレカットが主流。 ただし、特殊な納まりや現場の微調整は、今も手刻みの出番。 結論: プレカットの効率+手刻みの目利きを組み合わせるのが実務的。 <まとめ> ・プレカット=速い・均一・設計通り。ただし角がRになりがち、乾燥・直角が前提。 ・手刻み=調整力・対応力・木読みに強い。収縮やクセを踏まえてベストな加工ができる。 いずれにしても、構造上重要部は人の目で確認することが欠かせないです。
次回は、耐力壁の役割について、お話します。
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