NSJ住宅性能研究所

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軸組と接合部シリーズ22

釘接合

釘の強さ(=接合の耐力)は主に、

・頭の大きさ
・胴(シャフト)の長さと太さ
・端(はし)距離(材の端から釘までの距離)

で決まります。

■釘のパーツと役割

・頭部(ヘッド):
板が抜けないように押さえるお皿。
仕上げ材は小さい頭を使って目立たなくすることもある。
耐力壁や床・屋根合板のように構造的に効かせるときは頭が大きい方が有利(めり込みに強い)

・胴部(シャフト):
板と木材の摩擦を生む部分。
リング(ギザギザ)やスクリュー(ねじ)加工があると抜けにくくなる。

・先端部(チップ):
打ち込みやすさに影響。
硬くて割れやすい材には鋭い先が有効。


■釘が力にどう抵抗するか(抵抗形式)

柱に釘留めした板を横にずらそうとすると、最終的な壊れ方はだいたい次の3つ。

・釘が抜ける(引き抜け)
・板が破れる(パンチングシア=頭周りで板がちぎれるイメージ)
・釘そのものが折れる


■対策の考え方

●引き抜け対策:
・釘の打ち込み長さを長くする
・胴部の加工(リング・スクリュー)で摩擦を増やす

・板の破れ(パンチングシア)対策:
・頭を大きくして板に食い込む面積を増やす
・打ち込みすぎない(頭を沈めすぎない)
・端(はし)距離を確保して端割れを防ぐ

③釘折れ対策:
・胴部を太くする
・構造用途は太径の専用釘を使う


■端(はし)距離・縁(ふち)距離とは?

・端(はし)距離:
材の端から釘までの距離。
小さいと割れやすく、耐力低下。

・縁(ふち)距離:
材の側縁(横の縁)から釘までの距離。
これも近すぎると割れる。

→ ボルト接合と同じで、端や縁から十分に離して打つことが基本。


■釘 vs. ビス(ねじ)

ビス:
胴部がねじで摩擦が大きく抜けにくい。
ただし粘り(延び)が小さく、脆く折れやすい壊れ方をする傾向。

使い分けの目安:
引き抜きに強く固定したい→ ビス有利。抜けにくい
じわっと変形に耐えて粘ってほしい→ 釘のほうが向く場合もある。例えば地震時に粘り折れにくい(ビスはせん断力に弱く折れやすい)


■特殊くぎの主な形状(ざっくり)

頭部:
平頭・大平頭・丸頭・傘頭・ケーシング・ブラッド など
→ 大きい頭は柔らかい板や構造用パネルの押さえに有利。

胴部:
スムース(無加工)・リング・スクリュー・バーブド など
→ リング・スクリューは抜けにくい。

先端部:角先・鋭角先・鈍角先・丸先 など
→ 材の割れやすさに応じて選ぶ。


■釘接合部の代表的な壊れ方とキー要因

●引き抜け

影響要因:荷重の大きさ、釘の打ち込み長さ・胴部形状(摩擦)

●パンチングシア(板のちぎれ)

影響要因:荷重、頭の面積、打ち込み過多(頭を沈めすぎ)

●頭部破断(頭がちぎれる)

影響要因:荷重、頭形状・強度

●木材の割裂

・木目(繊維)方向に力:荷重、端(はし)距離が重要
・木目と直交方向に力:荷重、端距離、縁(ふち)距離が重要


■現場で迷わないための指針

●構造用合板や面材を留める:
・頭の大きい釘+規定ピッチ+端・縁から離して
・打ち込みすぎ注意(頭が沈むと板が破れやすい)

●抜けに強くしたい:
・長めに打つ
・リング・スクリュー釘を検討

●割れやすい材:
・鋭い先端を選ぶ
・端(はし)距離・縁(ふち)距離を十分に

●折れ対策:
・太径釘(構造用)を選ぶ



次回は、接合金物について、お話します。

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