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釘の強さ(=接合の耐力)は主に、 ・頭の大きさ ・胴(シャフト)の長さと太さ ・端(はし)距離(材の端から釘までの距離) で決まります。 ■釘のパーツと役割 ・頭部(ヘッド): 板が抜けないように押さえるお皿。 仕上げ材は小さい頭を使って目立たなくすることもある。 耐力壁や床・屋根合板のように構造的に効かせるときは頭が大きい方が有利(めり込みに強い) ・胴部(シャフト): 板と木材の摩擦を生む部分。 リング(ギザギザ)やスクリュー(ねじ)加工があると抜けにくくなる。 ・先端部(チップ): 打ち込みやすさに影響。 硬くて割れやすい材には鋭い先が有効。
■釘が力にどう抵抗するか(抵抗形式) 柱に釘留めした板を横にずらそうとすると、最終的な壊れ方はだいたい次の3つ。 ・釘が抜ける(引き抜け) ・板が破れる(パンチングシア=頭周りで板がちぎれるイメージ) ・釘そのものが折れる ■対策の考え方 ●引き抜け対策: ・釘の打ち込み長さを長くする ・胴部の加工(リング・スクリュー)で摩擦を増やす ・板の破れ(パンチングシア)対策: ・頭を大きくして板に食い込む面積を増やす ・打ち込みすぎない(頭を沈めすぎない) ・端(はし)距離を確保して端割れを防ぐ ③釘折れ対策: ・胴部を太くする ・構造用途は太径の専用釘を使う ■端(はし)距離・縁(ふち)距離とは? ・端(はし)距離: 材の端から釘までの距離。 小さいと割れやすく、耐力低下。 ・縁(ふち)距離: 材の側縁(横の縁)から釘までの距離。 これも近すぎると割れる。 → ボルト接合と同じで、端や縁から十分に離して打つことが基本。 ■釘 vs. ビス(ねじ) ビス: 胴部がねじで摩擦が大きく抜けにくい。 ただし粘り(延び)が小さく、脆く折れやすい壊れ方をする傾向。 使い分けの目安: 引き抜きに強く固定したい→ ビス有利。抜けにくい じわっと変形に耐えて粘ってほしい→ 釘のほうが向く場合もある。例えば地震時に粘り折れにくい(ビスはせん断力に弱く折れやすい) ■特殊くぎの主な形状(ざっくり) 頭部: 平頭・大平頭・丸頭・傘頭・ケーシング・ブラッド など → 大きい頭は柔らかい板や構造用パネルの押さえに有利。 胴部: スムース(無加工)・リング・スクリュー・バーブド など → リング・スクリューは抜けにくい。 先端部:角先・鋭角先・鈍角先・丸先 など → 材の割れやすさに応じて選ぶ。 ■釘接合部の代表的な壊れ方とキー要因 ●引き抜け 影響要因:荷重の大きさ、釘の打ち込み長さ・胴部形状(摩擦) ●パンチングシア(板のちぎれ) 影響要因:荷重、頭の面積、打ち込み過多(頭を沈めすぎ) ●頭部破断(頭がちぎれる) 影響要因:荷重、頭形状・強度 ●木材の割裂 ・木目(繊維)方向に力:荷重、端(はし)距離が重要 ・木目と直交方向に力:荷重、端距離、縁(ふち)距離が重要 ■現場で迷わないための指針 ●構造用合板や面材を留める: ・頭の大きい釘+規定ピッチ+端・縁から離して ・打ち込みすぎ注意(頭が沈むと板が破れやすい) ●抜けに強くしたい: ・長めに打つ ・リング・スクリュー釘を検討 ●割れやすい材: ・鋭い先端を選ぶ ・端(はし)距離・縁(ふち)距離を十分に ●折れ対策: ・太径釘(構造用)を選ぶ
次回は、接合金物について、お話します。
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