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ボルト接合を強く・粘り強くするためには、ボルトの端距離(木材の端からボルトまでの距離)をしっかり取ることが大切です。 ■ボルト接合の2つのタイプ 木材をボルトでつなぐ方法には、次の2種類があります。 ①接合形式A(2面せん断) 3つの部材をボルトでまとめる方法。 たとえば真ん中に木材(主材)があり、それを両側の板(側材)で挟むイメージです。 ②接合形式B(1面せん断) 2つの木材をボルトで直接つなぐ方法です。 Aより構造的に少し弱く、よじれ(偏心)が起きやすい特徴があります。
■ボルトにかかる力と壊れ方 ボルト接合に引張力(引っ張る力)がかかると、ボルトと木材の間にせん断力(ずれようとする力)が働きます。 ① 接合形式Aの場合 壊れ方は2種類あります。 ・木材が割れる ・ボルトが折れる 木材が割れる壊れ方は脆くて避けたい。 → そのために、木の端からボルトまでの距離(端距離)を十分に取ることが重要です。 ② 接合形式Bの場合 こちらも「木材が割れる」か「ボルトが折れる」かのどちらか。 ただしAよりもボルトが支える面(せん断面)が少なく、荷重が偏ってねじれやすいため、Aよりも耐力(強さ)は低めになります。 この場合も端距離を確保することが重要です。 ■鋼板を使うと強くなる理由 木材だけをボルトで接合すると、木のほうが柔らかいため、木のめり込みで強度が決まってしまいます。 しかし、片側を鋼板(鉄の板)に変えたり、木材の間に鋼板を挟むと、木の変形が減って耐力が高まります。 ■ドリフトピン接合との違い ドリフトピン(ナットで締めない打ち込みピン)でも、計算式はボルト接合と同じです。 初期状態ではぴったり打ち込まれていて剛性(硬さ)が高い。 しかし、大きく変形したり木材が乾燥して縮むと、ナットで締め直せるボルト接合のほうが粘り強くなります。 ■ボルト配置の目安(表) 項目 | 条件(木目方向に力がかかる場合) s(ボルトの並び間隔・繊維方向) | 7d以上 r(ボルトの並び間隔・繊維と直交方向) | 3d以上 e1(荷重負担側の距離) | 7d以上 e1(荷重非負担側の距離) | 4d以上 e2(ボルトと木材の端距離) | 1.5d以上(l0/d>6のときは、かつr/2以上) ※ d:ボルトの直径、l₀:主材の厚さ ■壊れ方の代表例 ①接合形式A(2面せん断)の場合 ・側材の押し潰れ(支圧破壊) ・主材の押し潰れ ・ボルトの曲げ+側材の押し潰れ ・ボルトの曲げ破壊 ②接合形式B(1面せん断)の場合 ・側材の押し潰れ ・主材と側材の押し潰れ ・ボルトのせん断破壊+木材の押し潰れ ・ボルトのせん断破壊 <まとめ> ・ボルト接合の強さのカギは「端距離の確保」 ・鋼板を使うと強度が上がる ・ドリフトピンは初期剛性が高いが、変形後の粘りはボルトが優れる ・「2面せん断(A)」は「1面せん断(B)」より強いが、どちらも正しい設計が必要
次回は、釘接合について、お話します。
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