NSJ住宅性能研究所

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軸組と接合部シリーズ17

接合部種類

接合の方法は大きく分けて、「嵌合(かんごう)」、「金物」、「接着」の3種類です。

建物に求められる強さや変形性能に合わせて、適切な方法を選ぶことが大切です。


■仕口(しぐち)と継手(つぎて)

木造建築の「接合部」には、次の2つがあります。

・仕口:
柱と梁(はり)のように、異なる方向の部材が交わる部分の接合方法
例:柱と梁の接合部

・継手:
梁と梁のように、同じ方向の部材をつなぐ方法
例:長い梁をつなぐための接合部


■嵌合接合(かんごうせつごう)

木材どうしをかみ合わせてつなぐ、昔ながらの接合方法です。

木材の「めり込み(押しつぶされるような変形)」によって力を伝えます。

代表例:柱と貫(ぬき)の接合部など

特徴:
強度はそれほど高くないが、大きな変形に柔軟に対応できる(粘り強い)

込栓(こみせん:木のピン)や楔(くさび)などの小物を一緒に使うことも多いです。


■金物接合(かなものせつごう)

金属の部品(ボルト・プレート・ピンなど)を使う接合方法です。

次の2タイプがあります。

・金物だけで接合するタイプ
木材同士を突き合わせて、ボルトやドリフトピンのめり込みで力を伝える方法
→ 木材の端から十分な距離を確保しないと、割れや破損が起こりやすい

・木の接合+金物の併用タイプ
木のかみ合わせで主に力を伝え、金物は抜け出し防止の補助として使う方法

注意点:
金物には多くの種類があり、意匠性(見た目)や施工性を優先した結果、構造的に問題があるものもある。
接合部に求められる性能を理解して、適切な金物を選ぶことが重要。


■接着接合(せっちゃくせつごう)

接着剤を使って木材を接合する方法です。

主に集成材(接着で作られた木材)構造などで使われます。

代表例:鉄筋を木に差し込み、接着剤で固定する方法

特徴:
高い強度と剛性(たわみにくさ)が得られる
ただし、施工管理が難しく、使える場面は限られる
粘りが少ないため、大きな変形にはあまり対応できない


<まとめ>
接合部の3種類(表)

種類 | 方法 | 特徴 | 主な例

嵌合接合 | 木材どうしをかみ合わせて接合 | 強度は弱めだが、変形に強く粘りがある | 柱と貫、楔
金物接合 | ボルトやピンなどの金物を使用 | 強度・剛性が高い。金物の設計が重要 | 柱と梁、ドリフトピン
接着接合 | 接着剤で固定 | 強度・剛性が高いが、施工管理が難しい | 鉄筋+接着剤



次回は、木造仕口について、お話します。

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