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■そもそも接合部って何?なぜ大事? 接合部は、柱や梁など部材と部材をつなぐところです。 木造では接合の形が多く、建物全体の強さ(壊れにくさ)や変形のしやすさを大きく左右します。 つまり、同じ材料・同じ大きさでも、つなぎ方しだいで建物性能が変わるということです。 ■大きく2タイプのつなぎ方 柱通し: 通し柱がまっすぐ上下に通り、そこへ梁などを取り付けるタイプ。 梁通し: 梁が優先して通り、柱がそこにのる(掛かる)タイプ。 どちらも、 「まず切り離された部材をしっかりつなぐ」 →「次にどんな力がかかるかを考えて形状を決める」 という順番で考えます。
■接合部にかかる3方向の力(X/Y/Z) 建物にはいろいろな方向から力がかかります。 考え方を3軸に分けます。 ・X方向(主に引張):梁が抜けようとする方向の力 ・Y方向(主に風):外壁に当たる風圧力で押したり引いたりする力 ・Z方向(上下):自重や人・家具・屋根雪などの鉛直荷重 ■水平荷重(地震・風)に対して必要なこと 水平荷重は鉛直構面(立面で見た骨組=主に耐力壁まわり)と水平構面(床や屋根の面)で考えます。 ●鉛直構面(耐力壁まわり) 耐力壁は水平力で回転し、端の柱に引き抜き力が出ます。 そのため、 ・柱―土台、柱―床梁、柱―小屋梁などは引張耐力(抜けにくさ)を確保。 ・枠になる梁の継手や梁端仕口も、引張に耐える必要あり。 ●水平構面(床・屋根の面) 水平力がかかると、床や屋根の外周(輪郭線まわり)で引張と圧縮が発生。 ここでも継手や仕口に引張耐力が必要。 例:床合板や火打ち、面材、梁端のつなぎなどが面として力を運ぶ経路を作る。 ●そのほか(暴風時の吹上げ) 軒先の吹上げで屋根が引きはがされる方向の力が出ます。 屋根や小屋組の抜け止め(引張耐力)確保を忘れずに。 ■鉛直荷重(上からの重さ)に対して必要なこと 梁の継手: 曲げに耐える強さ(曲げ耐力)が必要 梁端の仕口: 当たって支える面の広さ(受圧面積)を確保。小さいとめり込みやすい ●よく出てくる組み合わせ ・梁―梁(受け梁と小梁) ・柱―梁(通し柱と胴差・床梁) ・小梁どうし など 重さが通る経路の各接合で「曲げに強い」「めりこみにくい」を満たすことが大切です。 ■どこをどうチェックすべき? ●鉛直荷重: ・梁の継手の曲げ耐力、梁端の受圧面積(めり込み対策) ●水平荷重(耐力壁まわり): ・柱端の引抜きに効く金物・納まり(柱―土台/柱―床梁/柱―小屋梁) ・梁の継手・端部の引張耐力 ●水平荷重(床・屋根の面): ・外周部で引張が切れない連続性(継手・仕口の引張耐力、面材の連結) ●端距離や割れに注意: 金物位置やボルト穴は端から十分な距離を確保 ※「端距離(はしきょり)」: 金物やボルトなどの端からの余白。短いと割れやすいので注意。 ●柱通し/梁通しの方針を最初に決め、力の流れ(荷重経路)をイメージして接合を選ぶ。 <まとめ> 木造の性能は「材料」だけでなく「つなぎ方(接合)」で決まる。 上下の重さには曲げとめり込み、横からの力には引張耐力(抜け止め)を。 荷重経路を切らさない接合設計が肝心です。
次回は、接合部種類について、お話します。
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