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■全体像 吹抜けに面した外壁は、風圧力(横から押す力)を強く受けます。 この風圧に対して、柱(縦材)か梁(横材)のどちらか「連続して通っている方」が主に抵抗します。 ・通し柱が通っていれば → 柱が主役(=耐風柱) ・管柱(1階ごとに区切られた柱)が多く、梁がつながっていれば → 梁が主役(=耐風梁) ポイントとしては、鉛直荷重(上からの重さ)とは支配的な部材が変わることがあります。 風は横から来るので、縦横どちらが通っているかが効きます。
■風圧に耐える2つの考え方 ・梁で受ける(梁が優先して通る) 柱に入った風圧力が最終的に梁へ流れていき、梁が受け持つ。 ・柱で受ける(柱が優先して通る) 梁に入った風圧力が最終的に柱へ流れていき、柱が受け持つ。 ■耐風柱(柱・間柱)の設計イメージ 必要断面は次の2つで決まります。 ・負担幅(その柱・間柱が受け持つ外壁幅) ・スパン(上下の横架材間の距離=柱の有効長さ) 検討は強度とたわみの2つです。 風圧は短期荷重なので、クリープ増大(長期的な変形の上乗せ)は考えなくてOKです。 スパンと負担幅(表) 部材 | スパン(上下の距離) | 負担幅(受け持つ横幅) 柱1 | h1 | (B1 + B2) / 2 柱2 | h2 | (B2 + B3) / 2 間柱 | h1 | B3 ※2階の柱1、柱2、間柱に対して、 h1:2階横架材間距離、h2:1+2階横架材間距離 B1、B2は、柱1、柱2を挟む柱間距離、B3は、間柱を挟む間柱間距離 長いほどたわみやすく、広いほど力が増えます → 太く強い断面が必要です 接合部が超重要で、柱から梁へ力を渡す仕口(ホゾ)が弱いと、柱が曲がった時に抜けやすいです。 短ホゾのみはNG。金物併用か長ホゾ+込栓で抜け止めを必ず行うようにしてください。 ■耐風梁(横架材)の設計イメージ 吹抜け側の梁は、鉛直荷重+風圧による横曲げに耐える必要があります。 床がある部分なら床面(合板・根太・床梁)が水平構面として抵抗してくれますが、吹抜けは床がないので、梁自体の幅で抵抗することになります。 ポイントとして、梁は幅が効くので、風に対しては、梁断面の「梁幅 d」がせいとして効きます(横に曲げられるため)。 そのため、たわみを小さくしたいなら「梁せい」よりも「梁幅」を増やすのが有効です。 スパンのとり方(支持点の考え方)としては、 ・耐風梁のスパンLは、風と平行方向の梁や床が取り付く位置を支持点としてカウント ・振止め梁や火打梁を入れると有効スパンを短くできる ・管柱を増やしても、耐風梁のスパンは短くならない(風向に対する支持点にはならないから) 継手・端部については、 ・耐風梁に継手は作らない(曲げが大きく抜けやすい) ・端部の仕口は抜け止めを確実に ■設計チェックの順番 ・どちらが通っているかを確認(通し柱?連続梁?) → 主担当を耐風柱 or 耐風梁で決める ・負担幅とスパンを整理。吹抜けでは耐風梁の支持点の見立てが肝 ・強度・たわみを両方チェック(短期荷重扱い、クリープ増大は不要) ・接合部の抜け止めを必ず設計(柱ホゾ:金物併用 or 長ホゾ+込栓/梁端部の留め) ・耐風梁でたわみが厳しいときは、 - 梁幅を増やす(最優先) - 振止め梁・火打梁で有効スパンを短縮 - 可能なら水平構面(床)で受ける計画に変更 ・耐風梁内の継手は避ける(どうしても必要なら配置見直し・納まり再検討) ■例えイメージ ・柱主役型: 縦に並ぶ電柱が風でしなり、上端と下端でしっかり固定されているイメージ。電柱(=柱)の太さ・長さ・支点間距離でしなりが決まる。 ・梁主役型:橋桁が横から押されるイメージ。橋桁(=梁)は横曲げに弱い方向があり、幅方向の厚みを増やすと強くなる。 ■失敗しがちなポイント(要注意) ・柱ホゾが短いまま: 曲げで簡単に抜けやすい → 金物併用or長ホゾ+込栓へ ・管柱を増やせば安心だと誤解: 耐風梁のスパン短縮には効かない。振止め・火打で支持を作る ・梁せいばかり増やす: 風には梁幅が効く。幅アップでたわみ改善 ・吹抜け側に継手: 耐風梁の継手は原則NG。納まりを組み替える <まとめ> ・どちらが通っているか=主役決定(柱or梁) ・柱・間柱: 負担幅×スパンで強度・たわみチェック、接合部の抜け止めが必須 ・耐風梁: 梁幅を増やすのが効く/振止め・火打梁でスパン短縮/継手NG ・風は横から来る。鉛直荷重の常識をそのまま当てはめないのがコツ
次回は、接合部性能について、お話します。
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