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梁の端を支える力(支持力)は、「接している面積(受圧面積)」と「支える側の梁に残っている厚み(残り寸法)」で決まります。 梁が抜け出さないようにする工夫も重要です。 ■梁端部の考え方 梁の大きさ(断面)は、強度やたわみ(曲がり)を計算して決めます。 それは「梁の端がしっかり支えられている」ことが前提です。 つまり、端部の支え方が悪いと、いくら強い梁でも性能を発揮できません。
■支えているのが「梁」の場合 梁の端が別の梁に載っているとき、以下の3つが大切です。 ・受圧面積(じゅあつめんせき) 上に載る梁(検討梁)と下で支える梁(受け梁)の接している面積が大きいほど、支える力が強くなります。 どちらの梁も木の「繊維方向と直角」に力を受けるため、「めり込み(木が押しつぶされる現象)」が問題になります。 ・検討梁の残り断面 梁の端を加工して差し込むとき、下の部分を削りすぎると断面が小さくなり、せん断(引き裂くような力)に弱くなります。 → なるべく切り欠きは少なくするのが理想です。 ・受け梁の残り寸法 力を受ける側の梁(受け梁)は、受圧面のすぐ下の繊維が押しつぶされます。 この押しつぶされる範囲は約30mmなので、最低30mm以上の残り厚みが必要です。 4kN(約400kg)の荷重を受ける場合は、残り60mm以上を確保すると安全です。 ■支えているのが「柱」の場合 柱は木の繊維方向に力を受けるため、受圧面積の大きさが特に重要です。 一般的に、柱で梁を支えるほうが、梁で支えるよりも支持力は大きくなります。 ただし、通し柱(1階から2階まで通る柱)に梁を差し込む場合は、受ける面積が小さくなりがちなので注意が必要です。 ■梁の抜け出しと「大入れ」寸法 「大入れ」とは、梁の端を柱や梁に差し込む部分のことです。 この部分が常に荷重を支える重要な部分になります。 標準的な大入れの深さは15mmですが、梁が大きくたわんだり、建物が傾いたりすると、梁が抜け出してしまうことがあります。 ●抜け出しを防ぐには ・大入れ寸法を深くする ・「羽子板ボルト」などの金物で、梁を柱にしっかり固定する ■梁の仕口(しぐち)と破壊の種類 梁と梁・柱の接合部分(仕口)には、いくつかの壊れ方があります。 ・受け梁のめり込み破壊 受け梁の接触部分が押しつぶされる。 押しつぶされる深さは約30mm。 ・検討梁のせん断破壊 梁の端が割れてしまう。 大入れ部分から割裂(われさけ、かつれつ)することがある。 ■大入れ部分の荷重による動き ・鉛直荷重(上からの重さ) 梁が下方向に押され、大入れ部分(約15mm)で支えている。 ・水平荷重(地震や風など) 柱と梁の接合部で、上端と下端が交互に抜け出すような動きが起こる。 → 金物などで補強することで、抜け防止が必要。 <まとめ> ・梁端部は「支える面積」と「残り厚み」で耐力が決まる ・めり込みや抜け出しを防ぐために、寸法と金物のバランスが重要 ・小さな加工ミスや切り欠きの大きさが、構造全体の安全性に大きく影響する
次回は、継手について、お話します。
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