NSJ住宅性能研究所

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軸組と接合部シリーズ11

梁端部

梁の端を支える力(支持力)は、「接している面積(受圧面積)」と「支える側の梁に残っている厚み(残り寸法)」で決まります。

梁が抜け出さないようにする工夫も重要です。


■梁端部の考え方

梁の大きさ(断面)は、強度やたわみ(曲がり)を計算して決めます。

それは「梁の端がしっかり支えられている」ことが前提です。

つまり、端部の支え方が悪いと、いくら強い梁でも性能を発揮できません。


■支えているのが「梁」の場合

梁の端が別の梁に載っているとき、以下の3つが大切です。

・受圧面積(じゅあつめんせき)

上に載る梁(検討梁)と下で支える梁(受け梁)の接している面積が大きいほど、支える力が強くなります。

どちらの梁も木の「繊維方向と直角」に力を受けるため、「めり込み(木が押しつぶされる現象)」が問題になります。

・検討梁の残り断面

梁の端を加工して差し込むとき、下の部分を削りすぎると断面が小さくなり、せん断(引き裂くような力)に弱くなります。
→ なるべく切り欠きは少なくするのが理想です。

・受け梁の残り寸法

力を受ける側の梁(受け梁)は、受圧面のすぐ下の繊維が押しつぶされます。

この押しつぶされる範囲は約30mmなので、最低30mm以上の残り厚みが必要です。

4kN(約400kg)の荷重を受ける場合は、残り60mm以上を確保すると安全です。


■支えているのが「柱」の場合

柱は木の繊維方向に力を受けるため、受圧面積の大きさが特に重要です。

一般的に、柱で梁を支えるほうが、梁で支えるよりも支持力は大きくなります。

ただし、通し柱(1階から2階まで通る柱)に梁を差し込む場合は、受ける面積が小さくなりがちなので注意が必要です。


■梁の抜け出しと「大入れ」寸法

「大入れ」とは、梁の端を柱や梁に差し込む部分のことです。

この部分が常に荷重を支える重要な部分になります。

標準的な大入れの深さは15mmですが、梁が大きくたわんだり、建物が傾いたりすると、梁が抜け出してしまうことがあります。

●抜け出しを防ぐには

・大入れ寸法を深くする
・「羽子板ボルト」などの金物で、梁を柱にしっかり固定する


■梁の仕口(しぐち)と破壊の種類

梁と梁・柱の接合部分(仕口)には、いくつかの壊れ方があります。

・受け梁のめり込み破壊

受け梁の接触部分が押しつぶされる。
押しつぶされる深さは約30mm。

・検討梁のせん断破壊

梁の端が割れてしまう。
大入れ部分から割裂(われさけ、かつれつ)することがある。


■大入れ部分の荷重による動き

・鉛直荷重(上からの重さ)
梁が下方向に押され、大入れ部分(約15mm)で支えている。

・水平荷重(地震や風など)
柱と梁の接合部で、上端と下端が交互に抜け出すような動きが起こる。
 → 金物などで補強することで、抜け防止が必要。


<まとめ>

・梁端部は「支える面積」と「残り厚み」で耐力が決まる
・めり込みや抜け出しを防ぐために、寸法と金物のバランスが重要
・小さな加工ミスや切り欠きの大きさが、構造全体の安全性に大きく影響する



次回は、継手について、お話します。

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