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梁のたわみ
■全体像 梁のたわみは、主に次の5つで決まります。 ・荷重のかかり方(等分布・集中などの係数) ・荷重の大きさ W ・スパン(支点間距離)L ・材料のヤング係数 E(剛さの指標) ・断面二次モーメント I(形の曲がりにくさ) 基本の考え方は、δ1=(係数×W×L×L×L)/EI です。ここで δ1 は荷重直後の弾性たわみです。 ポイント:L3 が効くので、同じ条件なら、スパンが最もたわみに効きます。
■許容たわみの考え方(基準の見方) 木造では、長期たわみは「弾性たわみδ1」にクリープによる増分を考慮します。実務上は、 ・クリープたわみ δ2≈2×δ1(木造の割増し目安) 合計たわみ δ1+δ2=3δ1 が目安値以下(ここでは L/250 以下) ※条文・告示の細かな読み替えは実務で確認しますが、ここでは「長期的には弾性の約3倍くらいになる」と理解しておけばOKです ■各要因が与える影響(直感+計算例) ・荷重 W 比例関係。2倍の荷重 → たわみも2倍。 例:中央集中荷重1tで δ1=1cm → 2tなら δ2=2cm。 ・スパン L 立方(3乗)で効く。スパンが2倍 → たわみは8倍。 例:L1=2m のとき δ1=1cm。 L2=4m にすると δ2=(L2/L1)3×δ1=2×2×2×1=8cm。 ・ヤング係数 E 大きいほど硬い → たわみは小さく。比例の逆数で効く。 例:E100で δ1=1cm。E50にすると δ2=(E100×δ1)/E50=2×1=2cm。 ・断面二次モーメント I 形状で決まる曲がりにくさ。矩形なら I=(b×d×d×d)/12 なので、 ・梁せい d を半分にすると I は1/8 → たわみは 8倍。 ・梁幅 b は一次(比例)。半分にすると たわみは2倍。 例(同じ幅 b=12cm のとき) ・d=30cm:I1=(12×30×30×30)/12=27,000cm4 ・d=15cm:I2=(12×15×15×15)/12=3,375cm4 → 比 I1/I2=8 なので、たわみは8倍。 (30cmで δ1=1cm → 15cmで δ2=8cm) ■実務でのチェック手順 ・荷重条件(等分布/集中、長期/短期)と係数を設定 ・断面(b,d)から I を計算 ・材料から E を選定 ・δ1=係数×W×L×L×L/EI を計算 ・木造なら長期の増分(クリープ)を考慮し、目安として δlong≈3δ1 を評価 δlong≤L/250 を満たすか確認 → NGなら、スパン短縮・梁せいアップ・Eの高い材・荷重低減/配分変更などで調整 <まとめ> ・最重要はスパン:δ∝L×L×L(まずスパン計画で勝負が決まる) ・形状は梁せいが効く:δ∝1/(d×d×d)(幅よりせい) ・材料はE:硬いほど曲がりにくい ・荷重は比例:倍になれば、たわみも倍 ・長期は増える:木造は クリープでおおむね3倍(弾性×3) を意識
次回は、梁端部についてお話します。
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