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■ 梁にかかる2つの力 梁は、床や屋根の重さなどの「鉛直荷重(上からの力)」を支えるための水平な部材です。 両端を支えられた梁に荷重がかかると、中央が少したわみます。 このとき、梁の中には主に次の2種類の力が生じます。 ・せん断力(ずれようとする力) ・曲げモーメント(たわもうとする力)
■せん断に対する設計 たわんだ梁を細かく切ってみると、部分ごとにわずかにずれていることがわかります。 このずれを生み出す力を「せん断力」といいます。 せん断力は梁の端(支点)で最も大きくなります(水平方向) 梁の断面の中では(鉛直方向)、中央部分が最大のせん断応力を受け、上下の端ではゼロになります。 したがって、支点付近の中央部分を大きく切り欠くと強度が落ちることになります。 せん断の安全性を確認するために、次の式を使います。 (1.5 × 最大せん断力) ÷ 断面積 ≦ 許容せん断応力度 ■曲げに対する設計 次に、梁がたわむときの「曲げ」の力です。 曲げ応力は、梁の中央で最も大きく、支点ではゼロになります(水平方向) ・上側は、押しつぶされる方向(圧縮)の力 ・下側は、引っ張られる方向(引張)の力 これらの中間で、力がゼロになる線を「中立軸」といいます。 つまり、 ・上側を削ると圧縮側が弱くなる ・下側を削ると引張側が弱くなる ということです。 特に、下側の切り欠きは強度を大きく下げるため注意が必要です。 逆に、中立軸の近くなら孔を開けても影響が少ないという特徴があります。 曲げの安全性を確認するためには、 最大曲げモーメント ÷ 断面係数 ≦ 許容曲げ応力度 ■梁の形による強さ(断面性能) 梁の強さやたわみに関係する基本的な3つの値があります。 名称 | 記号 | 計算式 | 主な影響 断面積 | A | b × d | せん断の強さ 断面係数 | Z | (b × d²) ÷ 6 | 曲げの強さ 断面二次モーメント | I | (b × d³) ÷ 12 | たわみの大きさ (b:梁の幅、d:梁せい=高さ) 梁の「せい(高さ)」を削ると、これらの値が大きく下がります。 特に、曲げに関係する断面係数Zは「高さの2乗」に比例するので、 少し削るだけでも強度がかなり落ちることになります。 <まとめ> ・梁の強さを考えるときは、「せん断」と「曲げ」の両方を考える ・せん断は支点近くの中央部、曲げはスパン中央の上下端が要注意 ・下側の切り欠きや削りは特に危険 ・「断面積A」「断面係数Z」「断面二次モーメントI」は、梁の形で決まる基本指標
次回は、梁のたわみについて、お話します。
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