NSJ住宅性能研究所

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木構造シリーズ28

背割り

背割りによる割れが貫通していなければ、構造的な問題はほとんどありません。

ただし、ボルトや金物などの接合具とぶつかると強度が下がるので注意が必要です。


■背割りとは?

「背割り」とは、木材の乾燥をコントロールするために、わざと一面にスリット状の割れ目を入れることです。

木材を乾燥させると、表面から水分が抜けていきますが、そのまま放置すると自然にランダムな「ひび割れ(干割れ)」が起きます。

この割れは見た目も悪く、場所によっては強度にも影響します。

そこで、あらかじめ人工的に一面だけ割っておくことで、他の面にひびが入らないようにコントロールするのが「背割り」です。

背割りは主に柱材に使われますが、断面の大きい梁(はり)材にも入れることがあります。


■背割りを入れる向き

柱の場合:
外壁に対して垂直になるように(外側から見えにくい位置)入れるとよい。

梁の場合:
上面(天端)に入れることが多い。

ただし、背割りの位置にボルトや金物が当たると、引張強度が下がるため、接合部の位置には気をつけましょう。


■背割りをした材を使うときの注意

背割りを入れると、乾燥が早まる一方で、部材が少し反ったりねじれたりすることがあります。

中途半端な乾燥状態で使うと、仕上げ材(クロスや化粧板など)にすき間や割れが出ることもあるので、十分に乾燥させてから使用することが大切です。


■背割りと強度の関係

外壁側に立つ柱を例に、次の3タイプを比較です。

タイプ | 状態 | 強度の特徴
① 背割りなし | 割れなし | 通常の強度
② 背割りあり | 一面に割れあり | ほぼ同じ強度(問題なし)
③ 貫通割れ | 完全に割れが貫通 | 曲げや座屈に対して弱くなる

背割りが完全に貫通していなければ、強度的には問題ないといえます。


■干割れと背割りの違い

用語 | 意味

干割れ(ひわわれ) | 自然乾燥の過程で、表面から内部へと水分が抜けていくときに自然に生じる割れ

背割り |人工的に割れをつくり、ひび割れの場所をコントロールして、木材全体を均一に乾燥させるもの


■背割りと仕上げへの影響

・接合具と背割りがぶつかる場合
 → 割れ部分に「埋木」をして補修する。
 (柱・土台・ホゾ・込栓の取り合い部で注意)

・乾燥が不十分な柱
 → 使ってから背割りが開いて、仕上げ材にすき間ができることがある。

・梁の背割り
 → 梁の上面に入るため、天井仕上げなどに影響することがある。


■割れと強度の関係(イメージ)

・繊維方向の力(柱の上下方向の圧縮)
 → 背割りがあってもほとんど変わらない。

・横方向の力(風圧など)
 → 背割りがない場合とほぼ同じ。
  ただし、貫通割れしている場合は、断面が半分になり座屈しやすくなる。


<まとめ>

・背割りは「木を守るための計画的な割れ」
・見た目の割れがあっても、貫通していなければ強度的に問題ない
・接合部との干渉と、乾燥不十分な使用だけ注意すればOK



次回は、土台のめり込みについて、お話します。

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