JavaScript を有効にしてご利用下さい.
座屈に対する強さは、柱の太さ(断面積)だけでなく、柱の「細さと長さのバランス」にも大きく左右されます。 ● 座屈とは何か 細長い柱を上から押すと、まっすぐ耐えているうちは問題ありませんが、ある力を超えると、柱が突然「ぐにゃっ」と横に曲がってしまうことがあります。 このように、押す力(圧縮力)に耐えきれずに曲がる現象を「座屈」といいます。
● 座屈の起こりやすさ(細長比 λ) 同じ太さの柱でも、「長い柱ほど座屈しやすく、短い柱ほど座屈しにくい」傾向があります。 また、断面が長方形の柱では、厚みが薄い方向(短い辺の方向)に曲がりやすくなります。 座屈の起こりやすさを表す数値が「細長比(ほそながひ、または、さいちょうひ)λ」です。 次の式で求められます。 細長比 λ = 座屈長さ lk ÷ 断面二次半径 i lk:座屈長さ(柱が支えられている間の距離。ふつうは横架材間距離) i:断面の厚みによって決まる値(断面二次半径) ※長方形の柱では、厚みDから i = D ÷ 3.46 で求めます。 λが大きいほど「細く長い柱」ということになり、座屈しやすくなります。 木造の場合、法律(建築基準法施行令 第43条)で λ ≦ 150 にするよう決められています。 ● 座屈に対する強さの計算 座屈を考慮して柱の強さを計算する際には、「圧縮に耐える力」を座屈しやすさに応じて割り引いて(低減して)評価します。 そのとき使うのが「座屈低減係数 η(イータ)」です。 細長比 λ の大きさによって η の値が次のように変わります。 細長比 λ | 座屈低減係数 η λ ≦ 30 | 1.0(ほぼ座屈しない) 30 < λ ≦ 100 | η = 1.3 - 0.01λ 100 < λ ≦ 150 | η = 3000 ÷ λ² 柱の許容座屈応力度は、次の式で求められます。 許容座屈応力度 = η × fc (fc は材種ごとに決められた許容圧縮応力度) ● 筋かい(すじかい)の座屈にも注意! 柱だけでなく、筋かい(地震や風に抵抗するために斜めに入れる部材)も座屈しやすい部材です。 筋かいは柱よりも長く、しかも厚みが30~45mmと薄いため、圧縮力を受けると曲がりやすくなります。 そこで、筋かいの中間に「間柱(まばしら)」を取り付けて支えることで、座屈長さを短くし、曲がりを防ぐ工夫をします。 <まとめ> ・座屈とは「細長い部材が圧縮で曲がってしまう現象」 ・細長比 λ が大きいほど座屈しやすい ・木造では λ ≦ 150 がルール ・計算では η(座屈低減係数)を用いて強さを割り引く ・筋かいは特に座屈しやすいので、中間で支える設計が重要
次回は、背割りについて、お話します。
▲このページのTOPへ