JavaScript を有効にしてご利用下さい.
柱は 上下階で同じ位置に立てるのが基本です。 細い通し柱は管柱と同じくらいの強さしかないと考えます。 ■通し柱と管柱の違い 通し柱:1階から2階まで連続して通っている柱 管柱:その階だけで終わる柱 それぞれに注意点があります。
① 柱と梁の接合部 柱と梁は「つなぐ」ことが目的です。 通し柱では、柱の位置で梁が分断されるので、梁どうしをしっかりつなぐ必要があります。 管柱では、上下の柱が分かれるので、柱どうしをつなぐ必要があります。 注意: 通し柱は断面が小さいと、梁との接合部で欠損が大きくなり、水平力で折れる危険がある。 → そのため、4寸(120mm)以下の通し柱は、金物で上下をつないで補強しておく。 ② 筋かいが取り付いたとき 水平力で筋かいに圧縮力がかかると、柱と梁の接合部が押されます。 通し柱: 梁が上に突き上げられる → 梁が抜けないように固定が必要。 管柱: 柱が外れやすい → 柱が抜けないように固定し、梁に差し込む部分を大きめにして横ずれ防止が必要。 ③ 床面が変形するとき 水平方向の力で床が変形すると、外周には圧縮力と引張力が発生します。 引張力がかかると接合部が外れやすくなります。 ・通し柱の軸組では → 柱と床梁の仕口(接合部)に注意 ・管柱のみの軸組(梁通し構法)では → 梁の継手に注意 ■大黒柱の役割 古い民家などに見られる、建物の中心にある太い柱(8寸=240mm以上)を「大黒柱」といいます。 太い差鴨居を貫通させると、接合部がめり込んで少しだけ水平力に抵抗できます。 ただし、大黒柱の水平抵抗力は 構造用合板の片面耐力壁の70%程度。 つまり、耐力壁のほうが効率的で経済的に建物を強くできます。 ■通し柱と管柱の比較(まとめ) 項目 | 通し柱 | 管柱 接合部 | 梁に連続性をもたせて固定(引きボルト等) | 上下の柱を固定(引きボルト・引寄金物等) 筋かい | 梁を突き上げる → 抜け防止対策必須 | 柱が外れやすい → 抜け・横ずれ防止必須 引抜力 | 柱から直接基礎へ伝わる | 土台を介して基礎へ伝わる(直接伝達も可) 水平方向の注意点 | 柱と梁の仕口が引張に耐えられるか注意 | 梁の継手が引張に耐えられるか注意 ■大黒柱の力学イメージ 柱に働く水平力(P)によって、柱や差鴨居には曲げモーメントが生じる。 ただし、断面が十分に大きくないと、水平抵抗力は期待できない。 <まとめ> 通し柱も管柱も、それぞれ弱点があるので金物や仕口で補強することが重要。 大黒柱は存在感は大きいが、耐震性能としては耐力壁のほうが効果的。
次回は、座屈について、お話します。
▲このページのTOPへ