NSJ住宅性能研究所

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木構造シリーズ26

柱は 上下階で同じ位置に立てるのが基本です。

細い通し柱は管柱と同じくらいの強さしかないと考えます。


■通し柱と管柱の違い

通し柱:1階から2階まで連続して通っている柱
管柱:その階だけで終わる柱

それぞれに注意点があります。


① 柱と梁の接合部

柱と梁は「つなぐ」ことが目的です。

通し柱では、柱の位置で梁が分断されるので、梁どうしをしっかりつなぐ必要があります。

管柱では、上下の柱が分かれるので、柱どうしをつなぐ必要があります。

注意:
通し柱は断面が小さいと、梁との接合部で欠損が大きくなり、水平力で折れる危険がある。
→ そのため、4寸(120mm)以下の通し柱は、金物で上下をつないで補強しておく。


② 筋かいが取り付いたとき

水平力で筋かいに圧縮力がかかると、柱と梁の接合部が押されます。

通し柱:
梁が上に突き上げられる
→ 梁が抜けないように固定が必要。

管柱:
柱が外れやすい
→ 柱が抜けないように固定し、梁に差し込む部分を大きめにして横ずれ防止が必要。


③ 床面が変形するとき

水平方向の力で床が変形すると、外周には圧縮力と引張力が発生します。

引張力がかかると接合部が外れやすくなります。

・通し柱の軸組では → 柱と床梁の仕口(接合部)に注意
・管柱のみの軸組(梁通し構法)では → 梁の継手に注意


■大黒柱の役割

古い民家などに見られる、建物の中心にある太い柱(8寸=240mm以上)を「大黒柱」といいます。

太い差鴨居を貫通させると、接合部がめり込んで少しだけ水平力に抵抗できます。

ただし、大黒柱の水平抵抗力は 構造用合板の片面耐力壁の70%程度。
つまり、耐力壁のほうが効率的で経済的に建物を強くできます。


■通し柱と管柱の比較(まとめ)

項目 | 通し柱 | 管柱
接合部 | 梁に連続性をもたせて固定(引きボルト等) | 上下の柱を固定(引きボルト・引寄金物等)
筋かい | 梁を突き上げる → 抜け防止対策必須 | 柱が外れやすい → 抜け・横ずれ防止必須
引抜力 | 柱から直接基礎へ伝わる | 土台を介して基礎へ伝わる(直接伝達も可)
水平方向の注意点 | 柱と梁の仕口が引張に耐えられるか注意 | 梁の継手が引張に耐えられるか注意


■大黒柱の力学イメージ

柱に働く水平力(P)によって、柱や差鴨居には曲げモーメントが生じる。

ただし、断面が十分に大きくないと、水平抵抗力は期待できない。


<まとめ>

通し柱も管柱も、それぞれ弱点があるので金物や仕口で補強することが重要。

大黒柱は存在感は大きいが、耐震性能としては耐力壁のほうが効果的。



次回は、座屈について、お話します。

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