NSJ住宅性能研究所

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木構造シリーズ25

梁通しタイプ

梁通しの特徴:
柱よりも梁を優先して通すことで、接合部がシンプルになり、間取りの自由度が高い。

注意点:
上下階で柱がずれてしまいやすく、構造的な連続性に配慮が必要。


■梁通し構法とは

梁通し構法とは、すべての柱を「管柱(1階ごとに区切られる柱)」とし、梁を優先的に通す軸組の方法です。

柱が多く立つ方向(通り)に「下梁」を配置します。
→その上に、直角方向に「上梁」を載せていきます。

この工法では、平面計画(間取り)の自由度が高く、建て方も積み木のように組みやすいというメリットがあります。

一方で、上下階で柱の位置が揃わないことが多く、力の流れに無理が出やすいという弱点があります。


■構造的な特徴と注意点

・床組の剛性

梁に段差ができるため、床全体の水平剛性(横揺れに対する強さ)が弱くなる傾向があります。
また、火打梁(斜め材)は、片方を上梁に差し込み、もう片方を下梁に載せる形になるので、建方の段階で同時に組み込む必要があります。


・接合部の仕口

柱と梁:
長ホゾ+込み栓(木のピン)で固定。
引張力が大きい場合は金物も併用。

梁と梁:
渡り腮(かみ合わせの仕口)で接合。
鉛直荷重には強く、地震などで傾いても抜けにくく粘り強い。


・欠損と割裂の注意

梁を欠き込む寸法は、梁せいの1/3以下に制限すること。
大きすぎると割れやすい。
渡り腮の「はね出し」は150mm以上必要。


・上下梁の接合

上梁と下梁の渡り腮は、上下方向の引抜力には弱い。
この弱点は、近くの柱やつなぎ材で補強することがある。


■継手の必要性

梁を連続させる構法なので、必ず「継手」が必要になる。
→ 引張に強い継手を選び、できるだけ曲げ応力の小さい場所に配置するのが望ましい。


■架構の計画手順

管柱の配置:等間隔に管柱を立てる
→下梁を架ける:柱が多い方向に、下梁を等間隔に配置
→上梁を載せる:直角方向に、渡り腮で上梁を組み込む
→耐力壁の配置:2間(3,640mm)程度ごとに設置

※1階と2階の柱・壁の位置ができるだけ揃うように計画すること。


<まとめ>

・梁通し構法は、自由度の高いプランニングが可能で、施工もしやすい。
・柱の連続性の確保や床の水平剛性、接合部の欠損寸法などに十分注意が必要。
・継手や仕口の選定を正しく行うことで、粘り強い構造を実現できる。



次回は、柱について、お話しします。

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