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梁通しの特徴: 柱よりも梁を優先して通すことで、接合部がシンプルになり、間取りの自由度が高い。 注意点: 上下階で柱がずれてしまいやすく、構造的な連続性に配慮が必要。 ■梁通し構法とは 梁通し構法とは、すべての柱を「管柱(1階ごとに区切られる柱)」とし、梁を優先的に通す軸組の方法です。 柱が多く立つ方向(通り)に「下梁」を配置します。 →その上に、直角方向に「上梁」を載せていきます。 この工法では、平面計画(間取り)の自由度が高く、建て方も積み木のように組みやすいというメリットがあります。 一方で、上下階で柱の位置が揃わないことが多く、力の流れに無理が出やすいという弱点があります。
■構造的な特徴と注意点 ・床組の剛性 梁に段差ができるため、床全体の水平剛性(横揺れに対する強さ)が弱くなる傾向があります。 また、火打梁(斜め材)は、片方を上梁に差し込み、もう片方を下梁に載せる形になるので、建方の段階で同時に組み込む必要があります。 ・接合部の仕口 柱と梁: 長ホゾ+込み栓(木のピン)で固定。 引張力が大きい場合は金物も併用。 梁と梁: 渡り腮(かみ合わせの仕口)で接合。 鉛直荷重には強く、地震などで傾いても抜けにくく粘り強い。 ・欠損と割裂の注意 梁を欠き込む寸法は、梁せいの1/3以下に制限すること。 大きすぎると割れやすい。 渡り腮の「はね出し」は150mm以上必要。 ・上下梁の接合 上梁と下梁の渡り腮は、上下方向の引抜力には弱い。 この弱点は、近くの柱やつなぎ材で補強することがある。 ■継手の必要性 梁を連続させる構法なので、必ず「継手」が必要になる。 → 引張に強い継手を選び、できるだけ曲げ応力の小さい場所に配置するのが望ましい。 ■架構の計画手順 管柱の配置:等間隔に管柱を立てる →下梁を架ける:柱が多い方向に、下梁を等間隔に配置 →上梁を載せる:直角方向に、渡り腮で上梁を組み込む →耐力壁の配置:2間(3,640mm)程度ごとに設置 ※1階と2階の柱・壁の位置ができるだけ揃うように計画すること。 <まとめ> ・梁通し構法は、自由度の高いプランニングが可能で、施工もしやすい。 ・柱の連続性の確保や床の水平剛性、接合部の欠損寸法などに十分注意が必要。 ・継手や仕口の選定を正しく行うことで、粘り強い構造を実現できる。
次回は、柱について、お話しします。
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