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柱通し構法は、1階から小屋まで一本の柱を通し、その途中に2階の梁を差し込む構法のことです。 通し柱の間隔は 2間(3,640mm)や1間半(2,730mm) が一般的で、この間隔を基準にした平面計画は「田の字プラン」と呼ばれるシンプルな間取りに適しています。
■メリット ・部材の規格化がしやすい 通し柱で囲まれた基本の形を繰り返すと、梁の長さや高さをそろえることができ、材料を規格化しやすくなります。 ・力の流れがわかりやすい 柱が1階から2階へ連続しているので、構造的に力の伝わり方が明快になります。 ・床の水平剛性が高めやすい 梁の高さ(天端)がそろうので、床の剛性(水平に強くする性能)を確保しやすいです。 ・構造計画の合理化 耐力壁を通し柱や梁のグリッド内に配置すれば、基礎を含めた構造全体を合理的に計画できます。 ■注意点(弱点) ・接合部の欠損 通し柱に梁を差し込むため、柱の断面が欠けます。 柱は 5寸角(150mm角)以上 を確保するのが望ましいです。 梁の差し口にかかる荷重が大きい場合は、近くに「管柱」を設けて負担を分散する方法もあります。 ・水平荷重時の抜け防止 地震などで横から力がかかると、梁が柱から抜けそうになります。 そのため、ボルトでしっかり引き付けて固定しておく必要があります。 ・受け梁の欠損 梁と梁をつなぐ部分(受け梁)は断面が大きく欠けます。 そのため、梁せいや幅を大きめにして補強することが推奨されます。 ■架構計画の手順 基本グリッドをつくる(2,730〜3,640mm) →グリッド交点に通し柱を配置 →通し柱をつなぐ大梁を設置 →小梁を適宜設ける →通し柱と大梁の中に耐力壁を配置 ■接合部の工夫 ●伝統的な仕口(大入れ、雇いホゾ、車知栓など) ・断面欠損に注意 ・地震時に抜けないようボルトで引き付けることが重要 ・四方差しは特に断面欠損が大きくなるので注意 ●梁に段差を設けた仕口 ・梁の高さに段差をつけ、柱の欠損を減らす ・通し柱の近くに管柱を置けば、万が一抜けても鉛直荷重を支えられる <まとめ> 柱通し構法は「規格化」「合理化」「耐震性の高さ」といったメリットが大きい一方で、接合部の断面欠損や抜け防止が課題となります。そのため、仕口の工夫や柱断面の確保、管柱の補助が欠かせません。
次回は、梁通しタイプについて、お話しします。
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