NSJ住宅性能研究所

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木構造シリーズ24

柱通しタイプ

柱通し構法は、1階から小屋まで一本の柱を通し、その途中に2階の梁を差し込む構法のことです。

通し柱の間隔は 2間(3,640mm)や1間半(2,730mm) が一般的で、この間隔を基準にした平面計画は「田の字プラン」と呼ばれるシンプルな間取りに適しています。


■メリット

・部材の規格化がしやすい
通し柱で囲まれた基本の形を繰り返すと、梁の長さや高さをそろえることができ、材料を規格化しやすくなります。

・力の流れがわかりやすい
柱が1階から2階へ連続しているので、構造的に力の伝わり方が明快になります。

・床の水平剛性が高めやすい
梁の高さ(天端)がそろうので、床の剛性(水平に強くする性能)を確保しやすいです。

・構造計画の合理化
耐力壁を通し柱や梁のグリッド内に配置すれば、基礎を含めた構造全体を合理的に計画できます。


■注意点(弱点)

・接合部の欠損

通し柱に梁を差し込むため、柱の断面が欠けます。

柱は 5寸角(150mm角)以上 を確保するのが望ましいです。

梁の差し口にかかる荷重が大きい場合は、近くに「管柱」を設けて負担を分散する方法もあります。

・水平荷重時の抜け防止

地震などで横から力がかかると、梁が柱から抜けそうになります。

そのため、ボルトでしっかり引き付けて固定しておく必要があります。

・受け梁の欠損

梁と梁をつなぐ部分(受け梁)は断面が大きく欠けます。

そのため、梁せいや幅を大きめにして補強することが推奨されます。


■架構計画の手順

基本グリッドをつくる(2,730〜3,640mm)

→グリッド交点に通し柱を配置

→通し柱をつなぐ大梁を設置

→小梁を適宜設ける

→通し柱と大梁の中に耐力壁を配置


■接合部の工夫

●伝統的な仕口(大入れ、雇いホゾ、車知栓など)
・断面欠損に注意
・地震時に抜けないようボルトで引き付けることが重要
・四方差しは特に断面欠損が大きくなるので注意

●梁に段差を設けた仕口
・梁の高さに段差をつけ、柱の欠損を減らす
・通し柱の近くに管柱を置けば、万が一抜けても鉛直荷重を支えられる


<まとめ>

柱通し構法は「規格化」「合理化」「耐震性の高さ」といったメリットが大きい一方で、接合部の断面欠損や抜け防止が課題となります。そのため、仕口の工夫や柱断面の確保、管柱の補助が欠かせません。



次回は、梁通しタイプについて、お話しします。

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