NSJ住宅性能研究所

MENU 検索

木構造シリーズ23

木造軸組みタイプ

家の骨組み(軸組)をどう組むかは、耐震性や施工のしやすさに関わる、とても大事な第一歩です。

大きく分けて3つ(+1つ)のタイプがあります。


① 柱通しタイプ

特徴:
1本の柱を1階から2階まで通して建てる(=通し柱)
その柱に2階の梁(床を支える横材)を差し込む。

メリット:
梁の天端がそろいやすいので、床がしっかりして揺れにくい。

注意点:
梁を差し込むときに柱の一部を欠くので、その部分の強度低下に注意。
建て方の手順にも配慮が必要。


② 梁通しタイプ

特徴:
柱はすべて「管柱」(1階ごとで止まる柱)にして、まず横に梁を通し、その上に別の梁を組む。
渡り腮(わたりあご)という方法を使う。

メリット:
仕口(部材を組む部分)の形が単純で、施工が比較的ラク。

注意点:
梁を積み上げる構造なので、床の剛性(強さ)は低め。
梁はできるだけ長いものを使うのが理想だが、敷地条件で継手を設ける場合は、力のかかりにくい場所を選ぶ必要がある。


③ ミックスタイプ(通し柱+渡り腮)

特徴:
柱通しと梁通しを組み合わせ、直交する梁の高さをずらして組み込む方法。

メリット:
柱や梁の欠損が小さくなる。

注意点:
床の剛性については梁通しと同じように配慮が必要。


(④)実際に多い「場当たり的なタイプ」

現状:
多くの住宅は「通し柱を通せるところだけに入れて、梁はスパンごとに短く区切る」という方法が多い。

メリット:
部材を小さくできるので材料は減る。

デメリット:
接合部(つなぎ目)が増えて施工の手間がかかる。
構造的に計画されていないため、強度や耐久性の面で効率が悪い。


<まとめ>

・柱通しタイプ:強度は高いが、加工に注意が必要
・梁通しタイプ:施工しやすいが、床の剛性はやや弱い
・ミックスタイプ:バランスがよいが、床剛性の配慮が必要
・場当たりタイプ:実際に多いが、施工の効率や強度に課題あり


「どこで柱を通すか、どこで梁を通すか」をきちんと考えて設計することが大事。間取り優先で計画すると、強度や施工性に問題が出やすくなります。



次回は、柱通しタイプについて、お話します。

▲このページのTOPへ