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■燃えしろ設計とは? 木造建築で火災が起きたとき、柱や梁(はり)が燃えても、建物が倒れないように断面を大きめに設計する方法を「燃えしろ設計」といいます。 木材は燃えると表面が炭(炭化層)になり、その炭が内部への酸素供給を防ぐことで燃え進むスピードを遅らせる特徴があります。 この性質を活かして、あらかじめ「燃えてなくなる部分(燃えしろ)」を見込んで部材を太くしておくのがポイントです。
■燃えしろ設計の考え方 ・必要な断面を確保する 構造的に必要なサイズをまず決めます(例:120×120mmの柱) ・燃えしろを足す 火災時間に応じて決められた厚さの「燃えしろ」を加えます。 例えば、準耐火構造(45分)で製材を使う場合は45mmが燃えしろとなります。 ・実際の断面サイズ 燃えしろを3面に加えると、必要断面120×120mmに対して、210×165mm の実際の柱断面が必要になります。 ・燃えしろ寸法の基準(例) 構造種別|根拠法令|集成材・LVL|製材 大規模木造建築物(30分耐火)|昭和62年建設省告示第1901・1902号|2.5cm|3.0cm 準耐火構造(45分)|平成12年建設省告示第1358号|3.5cm|4.5cm 準耐火構造(60分)|平成27年国交省告示第253号|4.5cm|6.0cm 「燃えしろ寸法」を足すことで、火災時でも必要な強度を保てるようにします。 ■燃えしろ設計の特徴 2004年の法改正までは大断面集成材だけが対象でしたが、現在は製材でも使えます。 ただし使える木材はJAS(日本農林規格)に適合するものに限られます。 準耐火構造には使えるが、耐火建築物や完全な耐火構造には使えないのです(火が完全に止まる保証がないため) <まとめ> 木材は「燃えると表面が炭化して燃え進みを遅らせる」性質がある。 その性質を活かし、火災時に燃えてなくなる部分をあらかじめ見込んで太く設計するのが「燃えしろ設計」 燃えしろ寸法は、火災時間・木材の種類ごとに法令で決まっている。 準耐火建築の設計でよく使われる方法です。
次回は、柱と横架材について、お話しします。
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