NSJ住宅性能研究所

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木構造シリーズ9

梁の種類

建物の梁を設計するときには、その梁を「どんな支え方をしているか」に応じてモデル化して考えます。

代表的な3種類が 単純梁・連続梁・片持梁 です。


① 単純梁(たんじゅんばり)

両端をピンで支えている梁。

たとえば、大梁に差し込んだ小梁や、通し柱に差し込んだ大梁(胴差し)がこれに当たります。

イメージとしては「両端でただ支えているだけの梁」です。


② 連続梁(れんぞくばり)

1本の梁に3点以上の支えがあるもの。

たとえば、大梁の上に小梁が渡っていく場合や、通し柱と通し柱の間に管柱がある胴差しなどです。

ただし、梁の途中に継手(つぎめ)がある場合は、その部分で梁が「分かれた」と考えるので、別々の単純梁として扱います。


③ 片持梁(かたもちばり)

一端は固定されているけれど、もう一端は支えがない梁。

バルコニーや庇(ひさし)などの「はね出し部分」がこれに当たります。

別名「はね出し梁」とも呼ばれます。


■片持梁の注意点

片持梁(はね出し梁)は、設計するときに特に注意が必要です。
なぜなら、支え方が弱いと落下してしまう危険があるからです。

■注意するポイント

通し柱の中間からはね出す場合
→ 方杖(補強材)を入れる、またはL字金物でしっかり固定する。
→ 柱に曲げの力がかかるので、柱断面の強さに注意。

「引き」が短い場合
→ 支点(固定部分)の留め方が非常に難しく、外れやすい。

「引き」の長さが十分ある場合(L0≧1.5~2×L’)
→ はね出した部分の長さ(L’)に対して、引き込む長さ(L0)を1.5~2倍以上確保する。
→ そうすれば支点がはね上がらないようにできる。


<まとめ>

梁のモデル化は「支え方」で分ける(単純梁・連続梁・片持梁)。

特に片持梁(はね出し梁)は危険があるため、十分な「引き」としっかりした接合が必須。

「はね出し部分は、支えの長さと固定の仕方が命」 というイメージを持っておくと理解しやすいです。



次回は、強度と変形について、お話します。

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