NSJ住宅性能研究所

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木構造シリーズ8

接合方法

建物をつくるとき、柱や梁などの部材をつなぐ必要があります。

「つなぎ方」のことを接合といいます。

接合の仕方によって、部材がどのように力を伝えるかが変わります。

大きく分けると、剛接合とピン接合の2種類があり、実際の建物ではその中間の半剛接合が多く使われています。


■支持点の種類(建物を支える方法)

建物の部材を支える「支持点」には3種類あります。

①固定端(剛接合)
→ がっちり固めて動かない。曲げの力も伝える。

②回転端(ピン接合)
→ 回転は自由にできるが、縦や横の力は伝える。

③移動端(ローラー)
→ 上下の力は支えるが、横から押されるとズレる。


■接合部の種類(節点)

部材と部材のつなぎ目(節点)は次の2種類に分けられます。

1⃣剛接合(剛節点):固定されて動かない。曲げも伝える。

2⃣ピン接合(ピン節点):回転は自由。曲げは伝えない。


1⃣剛接合(固定端)

接合部ががっちり固まっていて、回転もしない。

力の種類(圧縮・引張・せん断・曲げ)すべてを伝える。

鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)では接合部が一体化していて剛接合になる。

木造は部材をつないでいく方式なので、完全な剛接合は難しい。例えば、木をコンクリートに埋め込めば剛接合になるが、腐りやすい欠点がある。


② ピン接合(回転端)

縦や横の力は伝えるが、曲げは伝えない。

ボルトで部材をつなぐと、ボルトを中心に回転できるため、曲げには弱い。

このため、ピン接合だけでつくった建物は、水平力(地震や風)に抵抗できない。


③ 移動端(ローラー)

上からの荷重(鉛直力)は支えられるが、横から押されると動いてしまう。

例:礎石に柱をただ置いただけの昔の建物。


④ 半剛接合(実際によく使われる)

剛接合とピン接合の中間。少しは曲げにも抵抗できる。

例:梁を羽子板ボルトで柱に引き寄せる接合、大断面集成材の仕口。

木造住宅の部材は細いことが多いため、実際はピン接合に近い。

そのため、耐力壁(地震や風に耐える壁)が必要になる。


<まとめ>

・剛接合:がっちり固めて回転もしない。鉄骨やコンクリート向き。
・ピン接合:回転は自由。木造はこれに近い。
・移動端:横から押すとズレる。昔の建物に多い。
・半剛接合:現実の多くの建物はこれ。木造では特に重要。

簡単に言えば、

・鉄骨やコンクリートの建物は「ガッチリ接合(剛接合)」
・木造の建物は「ゆるめ接合(ピンに近い)」

そのため、木造では「耐力壁」で補強するのです。



次回は、梁の種類について、お話します。

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