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建物に荷重(おもりのような力)が加わると、柱や梁などの部材にさまざまな力が働きます。 これらを「応力」と呼びます。代表的な6種類を見てみましょう。 ① 圧縮(押す力) 説明:部材を押し縮める力。 例:柱が屋根や床の重さを受けているとき。地震や風で横に揺れると、耐力壁の端の柱や梁にも圧縮がかかる。 注意点:木材の繊維方向に圧縮がかかると、細い部材はぐにゃっと折れる「座屈」が起こる。 ② 引張(引っぱる力) 説明:部材を引き延ばそうとする力。 例:地震時に筋交い(ブレース)が引っ張られるとき。 注意点:木材自体は意外と引張に強いが、接合部(釘・金物)が抜けないようにすることが重要。
③ 曲げ(たわむ力) 説明:部材がたわむことで、片側は押され(圧縮)、反対側は引っ張られる(引張)。 例:梁が床を支えるときや、柱が風を受けるとき。 注意点:木材は「ヤング係数(硬さの指標)」が低いため、壊れなくても大きくたわむことがある。変形を見越して断面サイズを決めるのがポイント。 ④ せん断(ずれ落ちる力) 説明:部材の一部がずれるように切られる力。 例:梁の支点付近。梁を下に押すと、支点で「ずれ落ちようとする力」が働く。 注意点:せん断破壊は一気にパキッと壊れる「脆い壊れ方」をするので、設計上は必ず避けなければならない。 ⑤ めり込み(部分的な押しつぶし) 説明:木材の繊維と直角に力がかかり、局所的に押しつぶされる。 例:柱と土台が接する部分。 特徴:強度は低いが「粘り」があり、力を取り除くと少しずつ戻る。 ⑥ 横圧縮(前面圧縮) 説明:木材を繊維と直角方向に、広い面で押しつぶす力。 例:楔(くさび)や小さな部材に強く力が加わったとき。 特徴:めり込みに似ているが、こちらは「一度つぶれると戻らない」のが違い。 <まとめ> 応力と破壊のイメージ ・圧縮破壊:柱が折れる(座屈) ・引張破壊:引きちぎられる ・曲げ破壊:引張側が裂ける ・せん断破壊:パキッと割れる(危険) ・めり込み破壊:繊維がつぶれるが戻る ・横圧縮破壊:繊維がつぶれたまま戻らない このように、木造建築の部材にはいろいろな「応力」が働きます。 壊れ方の特徴を知っておくと、なぜ断面サイズや接合部の設計が大事なのか理解しやすくなります。
次回は、接合部について、お話します。
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