NSJ住宅性能研究所

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木構造シリーズ2

在来軸組構法の構成

木造住宅の代表的な工法である「在来軸組構法」は、日本で最も広く使われています。

建物は 軸組(柱と梁)・耐力壁・床や屋根(水平構面) の3つの要素を「接合部」でつなぎ、それを「基礎」で支えることで成り立っています。部材は大きく分けて5つです。


① 基礎(きそ)

建物と地盤をつなぐ、鉄筋コンクリート造の土台部分。

役割:
建物の重さを支え、地盤に伝える。
地盤が不均一に沈む「不同沈下」を防ぎ、地震などの水平力も地盤に逃がす。

ポイント:
「閉じた形(連続した基礎)」にすると強くなる。途中で切れた基礎はひび割れの原因になりやすい。


② 軸組(じくぐみ)

柱:
鉛直方向に立つ部材。

横架材:
水平方向に置かれる部材(土台や梁)。

柱と梁を組み合わせたものが「軸組(骨組み)」
建物の骨格をつくる基本的な構造。

注意点:
軸組だけでは、地震や風の横揺れ(水平力)には弱い。


③ 耐力壁(たいりょくへき)

地震や台風などの「横からの力」に抵抗するための壁。

代表例は、柱の間に斜めに入れる「筋かい」

役割:
軸組では耐えきれない水平力を、壁の長さによって支える。

弱点:
壁の厚み方向に押されると倒れやすい。


④ 床組(ゆかぐみ)・小屋組(こやぐみ)

床組:
梁の上に細い横材(根太)を並べ、その上に床板を張ってできる。
人や家具を支えると同時に、水平力を耐力壁へ伝える役割を持つ。

小屋組:
屋根を支える骨組み。梁の上に束を立て、その上に母屋(水平材)、さらに垂木や野地板を載せて屋根を構成する。

共通点:
どちらも「水平構面」と呼ばれ、建物全体に加わる力を耐力壁に伝える重要な役割を持つ。


⑤ 接合部(せつごうぶ)

仕口:
直交する部材同士の接合部。

継手:
同じ方向の部材同士の接合部。

木造では接合部の性能が建物の強さを大きく左右する。

特徴:
木造の接合部は「ピン接合」が多く、回転しやすい。そこで「方杖(ほうづえ)」や「火打ち材」を入れて、回転を防ぎ、より強固にする。


<まとめ>

在来軸組構法は、

基礎が建物を支え、
軸組が骨格をつくり、
耐力壁が横からの力を防ぎ、
床組・小屋組が全体をつなぎ、
接合部がそれぞれの部材を強く結びつける

という仕組みで成り立っています。

人間の体でいう「骨格と関節」が建物にもあると考えると分かりやすいです。



次回は、荷重に作用するものについて、お話します。

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