NSJ住宅性能研究所

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県産木材シリーズ8

県産木材の需要ともくネットちば

■県産材の需要を広げるには

(A) 設計や調達の段階で「JAS材を前提にする」

中規模以上の木造建築や、非住宅建築は基本的に構造計算が必須です。
そこで「JAS材」を使うことを標準にすると有利です。

・発注書には ヤング係数(E値) や 含水率(D15=15%以下、D20=20%以下) を明記する
・設計審査では、JASマークや格付票、乾燥区分の証明を提出すれば品質確認がスムーズ


(B) 供給体制を強化する(千葉の課題)

県産材を広く使ってもらうには、供給側の力を底上げすることが必要です。

・JAS認証工場を増やす(構造用製材、2×4材、保存処理材など)
・人工乾燥機などの設備を整え、安定的に高品質な材を出せるようにする

最新の認証工場数は、農林水産省やJLIRA(認証団体)の公開リストで確認できます。カテゴリごとに随時更新されています。


(C) 施主や発注者が「使いたくなる仕掛け」

木材を使ってもらうには、補助金や見える化の工夫が効果的です。

■国の補助金

・JAS構造材実証支援事業:非住宅でJAS材を使うと調達費の一部を助成
・都市木材需要拡大事業:都市部でJAS材や内装木質化、木製サッシを使うと助成
・花粉症対策木材利用促進事業:住宅でスギJAS材を使う工務店に補助

■千葉県の補助金
・ちばの木ふれあい空間創出事業:公共施設や展示効果のある施設で県産材を内装に使うと、最大400万円の補助

■見える化の工夫

・JAS材に押されているスタンプやシールには「等級・含水率・樹種」などが書かれている
・これを館内掲示やパンフレットに載せることで、「品質が見える木」としてPRできる

■県外の加工も活用

・県外の認定業者に加工を依頼しても、「千葉産+JAS材」として公共案件に供給することが可能


(D) 数字で説明する(説得力アップ)

「国内製材のJAS格付率はまだ少ない(全体で13%、構造用でも27%)」と伝えることで、選べば差が出ることを強調できます。

また、2025年改正の3つのポイント(構造計算範囲の拡大/品質確認の義務化/柱小径の緩和)を一枚の図で示すと、JAS材採用の合理性を理解してもらいやすいです。


4. 千葉県木材利用ネットワーク(もくネットちば)

千葉県には「もくネットちば」という組織があります。
ここは、木材利用を進めるための 産官学金(行政・企業・大学・金融)連携の場 です。

活動内容は、

・シンポジウムの開催
・木材利用に関する情報提供や普及活動
・製品開発から販売までの連携サポート

など。

設計者や工務店にとっては、補助金・JAS材・合法性証明などの最新情報をまとめて得られる窓口として活用できます。

<まとめ>

・設計段階から「JAS材を標準」として考える
・供給体制(認証工場や乾燥設備)を整える
・補助金や見える化で発注者にメリットを示す
・ネットワーク(もくネットちば)で情報と人をつなぐ

これらが、県産材の利用拡大のカギだと考えられます。



次回は、木取りと製材について、お話します。

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