NSJ住宅性能研究所

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2025年4月 建築基準法改正 ~見直し内容にフォーカス~52

中大規模木造ラーメン

中大規模の木造建築では、とても大きな力(耐力)に耐える必要があります。

そのため、主に住宅用として開発されてきた木造ラーメン工法では、強さが足りないことがよくあります。


大きな課題は2つです。

① 靭性(じんせい)の確保

靭性とは:地震などの大きな力を受けたときに「壊れにくさ」や「粘り強さ」を示す性質です。

木材は、めり込み(押しつぶされる力)以外では終局状態で粘りが少なく、脆く壊れやすいという弱点があります。

工夫として、木材ではなく鋼材(鉄)部分が先に変形・降伏するように設計します。

例:接合部の鉄筋をあえて細くして、その鉄筋が先に変形し、建物全体が壊れる前に力を逃がす。


② パネルゾーンの設計

パネルゾーンとは:柱と梁が交わる四角形の「節(ジョイント)」部分です。

この部分には大きなせん断力(ずれようとする力)が集中します。

木材のせん断強度(ずれに対する強さ)は低いため、そのままでは壊れやすいのです。

そこで次のような工夫が行われています:

・パネルゾーンをPCa(プレキャストコンクリート)部材に置き換える
・パネルゾーンだけを鉄骨造やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)にする


<まとめ>

中大規模木造ラーメン工法の課題は
・靭性の確保
・パネルゾーンの強化

解決の方向性としては、「鉄やコンクリートを部分的に組み合わせる」というハイブリッド設計が重要になってきています。


今や当たり前となった、「サステイナブル」や「SDGs」という言葉。

木造建築物は、地球環境にやさしい構法と言えます。森林の活性化のためにもとても重要です。


次回から、「県産木材」シリーズについて、お話していきます。

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