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木造ラーメン工法とは、柱と梁をしっかりつないで「骨組み(フレーム)」をつくる建て方のことです。 鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)ではよく使われていますが、中大規模木造ではまだ新しい挑戦の分野です。 多層の木造オフィスビルを木造ラーメンで建てることは、木造建築業界の長年の夢といわれています。 これまでの木造ラーメン工法は、主に住宅向けに研究・開発されてきました。 住宅規模を前提としたマニュアルも作られてきましたが、今後はオフィスなど中大規模建築物に対応した木造ラーメンの技術開発が進むと考えられています。
■木造ラーメンの課題 事務所建築に使えるような高い強度をもつ木造ラーメンをつくるのは簡単ではありません。 理由は木材の性質にあります。 木材は繊維方向(木の目に沿った方向)には強いが、それ以外の方向は弱く、弾性(ヤング係数)は1/25〜1/50しかない。 めり込みに弱いため、接合部を鉄やコンクリートのように完全に「カチッ」と固定するのが難しい。 そのため、接合部の研究分野として「モーメント抵抗接合」という考え方が登場しました。 しかし、木造ラーメンの接合部は完全に剛性があるわけではなく、実際には変形が鉄骨の約3倍くらいになってしまいます。 加えて、木材自体が変形しやすいため、さらに建物全体の変形も大きくなります。 ■対策と注意点 大きな変形を抑えるために、木造ラーメンを耐力壁や筋かい(すじかい)と組み合わせて使うことが検討されています。 ただし、ここにも課題があります。 ・耐力壁の端の柱とラーメンの柱を兼用すると、引き抜き力(柱が基礎から抜けようとする力)が問題になる ・耐力壁とラーメンでは荷重に対する変形の仕方が違う ・耐力壁:最初は硬いが、大きな変形が進むと徐々に弱くなる ・木造ラーメンは最初は柔らかいが、大きな変形でも粘り強く耐える このため、両者を同じ方向に配置する場合には、建物全体のねばり強さ(靭性能)をどう評価するか慎重に考える必要があります。 <まとめ> 木造ラーメンは、木造で大規模オフィスを建てる夢の工法。 しかし木材は鉄やコンクリートと違い「弱い方向」があるため、接合部や変形の問題が大きな課題。 耐力壁や筋かいと組み合わせることで補えるが、両者の性質が違うため、設計時に特別な注意が必要。 木造ラーメンは夢のある技術だが、木材特有の弱点をどう克服するかがカギです。
次回は、木造ラーメン工法の接合部分について、お話します。
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