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木造ラーメン工法は、1980年代後半の「第一次中大規模木造ブーム」の時期に精力的に開発されました。 代表的な接合方法を4つ紹介します。
① 合わせ梁型の接合 仕組み:梁と柱が交わる部分(パネルゾーン)に、ボルトを円形や四角形に並べて配置する。 補強方法:ボルトだけでは強度が足りない場合、ブルドックジベル・シアプレート・スプリットリングと呼ばれる金具を挟んで補強する。 特徴:設計方法が確立されているが、接合部に「ガタ」が生じやすく、モーメント抵抗(曲げに対する強さ)がスリップする挙動を示す。そのため、この特性を考慮した設計が必要。 構造形式:一方向ラーメン。 ② 鋼板挿入ドリフトピン接合 仕組み:柱や梁にチェーンソーでスリット(切り込み)を入れ、その中に厚さ9mmや12mmの鋼板を差し込み、ドリフトピン(鋼棒)で固定する。 特徴:施工が比較的簡単で、実施例も多い。ただし、こちらも先穴部分の「ガタ」によりスリップ挙動が生じる。 構造形式:一方向ラーメン。 ③ 鉄筋挿入接着工法(GIR工法) 仕組み:梁に開けた穴に異形鉄筋や全ネジ鉄筋を差し込み、エポキシ樹脂で固める。 イメージ:鉄筋コンクリート梁の主筋のように鉄筋が配置され、モーメントを負担。 ポイント: ・2方向ラーメンでは、鉄筋同士が柱の中で交差できるように段差を設ける。 ・現場での接着施工のため、温度管理や養生が重要。 特徴:剛性の高い接合部がつくれるため、非住宅の木造建築で多く採用されている。最近は、鉄筋を先に降伏させて靭性を確保するタイプも開発されている。 ④ ラグスクリューボルト工法(LSB工法) 仕組み:GIR工法の鉄筋の代わりに、ラグスクリューボルトを梁や柱にあらかじめねじ込み、現場で両者を結合する。 特徴:接着剤を使わず乾式で施工できるため、管理が容易。 用途:主に戸建住宅規模を対象に開発・実用化されている。 <まとめ> 木造ラーメンの接合部には、 ・ボルトとジベルを使う「合わせ梁型」 ・鋼板とドリフトピンを使う「鋼板挿入ドリフトピン接合」 ・鉄筋と樹脂で固める「GIR工法」 ・乾式で簡単な「LSB工法」 の4種類があります。 施工性・強度・対象建築規模によって使い分けられ、特に非住宅建築では「鉄筋挿入接着工法」が多く使われています。
次回は、中大規模木造ラーメンについて、お話します。
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