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多層木造建築の流れと技術発展 1. 日本での多層木造の始まり 木造建築は昔から2〜3階建ての住宅が中心でした。 しかし「耐火性能を満たした木造部材」が開発され、国から認められたことで、より高い建物を木造で建てられるようになりました。 ・4階建て → 1時間耐火構造が必要 ・5〜9階建て → 1.5時間耐火構造が必要 地方では、1階を店舗や事務所にして、上の階を住宅とする「4階建て木造ビル」が登場しています。 1階を鉄筋コンクリート造(RC造)にして、上の4階を木造とする組み合わせも多く、地方都市の需要を満たしています。
2. 海外での木造高層ビル 海外では日本より早く「高層木造」が広まりました。 ・ロンドン:CLT(直交集成板)を使った9階建て集合住宅 ・ウィーン:「HOHOプロジェクト」24階建て(コア部分以外は木造) ・ノルウェー:ホテルが一時「世界一高い木造建築」として注目 多くは「コア部分(エレベーターや階段)をRC造」にし、それ以外を木造にしていますが、CLT耐力壁を使った純木造の高層建築も実現しています。 3. 日本での最新事例 海外の流れを受けて、日本でも木造高層化が進んでいます。 ・ポートプラス:純木造11階建ての研修施設(木造ラーメン構造を採用) ・野村不動産 溜池山王ビル:木造混構造のオフィスビル ・ジューテック本社ビル:木造混構造 従来の「木造=低層住宅」というイメージから大きく変化しています。 4. 耐火技術の進歩 木造高層化を支えているのは「耐火部材」の進歩です。 ・2時間耐火の柱・梁が開発 → 多層建築が可能に ・3時間耐火の部材も登場 → 技術的には木造でも高さ制限がなくなりつつある つまり、耐火性能の基準を満たす部材さえあれば、木造でも超高層ビルを建てられる時代になってきています。 <まとめ> 耐火技術の進化が木造建築を高層化へ導き、世界的に木の高層ビル競争が進んでいる。 日本もその流れに乗りつつあります。
次回は、多層木造の課題について、お話します。
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