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2010年4月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(通称:公共建築物木材利用促進法)が成立しました。 この法律は、建物の骨組みを木材でつくる「木造化」と、内装を木材で仕上げる「木質化」の2つの方向性で木材利用を進めることを目的としています。 同年10月には、政府が「3階建て以下の公共建築物は、原則すべて木造にする」という方針を打ち出しました。 対象は学校・老人ホーム・保育所・病院・運動施設・図書館などです。 従来、公共建築物は鉄筋コンクリート造や鉄骨造が中心だったため、この方針は建築業界にとって大きな転換点となりました。
しかし、実際には非住宅分野(商業施設やオフィスなど)の木造化は思うように進みませんでした。 林野庁のまとめによると、2019年の日本の建築着工面積は約1億㎡で、そのうち木造は約5,200万㎡にとどまっています。 特に低層の非住宅建築や4階建て以上の建築物では木造率が低いままでした。 一方、この10年間で「地球温暖化防止」や「脱炭素社会の実現」の重要性はますます高まり、建築分野における木材利用の意義が改めて注目されるようになりました。 こうした背景を受けて、2021年10月には法律が改正され、新たに「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(通称:木促法)となりました。 改正により、法律の名前に「木材利用が脱炭素社会の実現に貢献する」という意義が明確に示されたのです。 対象範囲も拡大されました。 従来は公共建築物(しかも3階建て以下)が中心でしたが、改正後は民間の建築物も含め、すべての建築物で木造化を進めることが基本方針となりました。 さらに、木質耐火構造の開発が進んだことから、低層建築物に限定せず木造利用を推進できるようになったのです。
次回は、中大規模木造建築物の規模について、お話します。
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