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省エネ住宅やZEH住宅などは、断熱材や太陽光パネルなどで建物が重くなる傾向があります。 重くなると地震や風に対する影響も大きくなるため、以下の点を考慮して設計することが望ましいとされています。 これらの方法は「住宅性能表示制度」の基準(平成13年国土交通省告示第1347号)などで示されており、詳細は品確法の解説書に記載されています。 ここでは概要だけを説明します。 ① 床組(ゆかぐみ)の検討 建物を支える耐力壁の位置関係や床の強さをチェックします。 耐力壁の間隔は8m以内(筋かいのない壁だけなら12m以内)とするのが原則です。 壁の配置や長さによっては「耐力壁線」とみなし、そこから1m以内の壁も同じ線上と見なせます。 床や屋根は、必要な「床の強さ(床倍率)」を満たすように設計します。 必要な床倍率は、壁の量や壁間距離などから計算します。
② 接合部の検討 胴差(どうさし)と柱の接合部、床周りの継手(つぎて)や仕口(しくち)などの接合方法を検討します。 建物が重くなると接合部にかかる力も大きくなるため、十分な強度を確保することが必要です。 ③ 横架材(おうかざい)・基礎の検討 横架材=梁(はり)など横方向の部材。 基礎や梁は、建物の重さ・積雪・地震力・風圧力をしっかり地盤に伝える必要があります。 有効な地盤条件を確認したうえで、基礎の種類・寸法・間隔などを適切に設定します。 ④ 無筋コンクリート基礎の廃止 以前は地盤がとても固い場合、鉄筋なしコンクリート基礎も認められていました。 今後は地盤条件に関係なく鉄筋コンクリート基礎が必須になります。 ⑤ 伝統的構法等に関する規定 伝統工法で板張りの床を使う場合、省エネ住宅などの重さ増加を考慮した追加基準が設けられました。 <まとめ> 簡単に言うと、 ・壁の配置・床の強さ ・接合部の強度 ・梁や基礎の強さ ・基礎は必ず鉄筋入り ・伝統工法でも重量増を考慮 これらを満たすことで、重くなった建物でも安全性を確保できるようになります。
次回は、住宅性能表示制度と重量増加による影響のまとめについて、お話します。
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