NSJ住宅性能研究所

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2025年4月 建築基準法改正 ~見直し内容にフォーカス~30

存在壁量に加算できる耐力壁等の見直し

① 準耐力壁等を存在壁量に含められるように変更

今までは、耐力壁として数えていなかった腰壁(窓の下部分の壁など)や袖壁(短い壁)なども、耐震性に役立つことが分かってきたため、一定条件で「存在壁量」に加えることができるようになりました。

対象となるのは、

・面材や木ずりを柱や間柱だけに釘打ちした壁
・垂れ壁(天井から下がっている壁)
・腰壁(窓の下部分の壁など)

これらの準耐力壁等が「必要壁量」の半分を超える場合は、柱に脆い破壊が起こらないかを確認する必要があります。

また、建物全体のバランスを確認する「四分割法」や柱頭・柱脚の接合確認は、準耐力壁の割合が半分を超えた場合には、それらも含めて計算します。

特に壁倍率が1.5倍を超える準耐力壁等 では、その倍率を使って柱接合部を検証します。


② 高い耐力を持つ壁の壁倍率上限を引き上げ

これまで壁倍率の上限は5倍でしたが、より耐力の高い壁を評価できるように最大7倍に引き上げられました。

ただし、壁が強すぎると周囲の構造や基礎に大きな力がかかるため、その影響を十分に考慮する必要があります。



③ 筋かいを入れた軸組の壁倍率の見直し

筋かい(斜め材)が入っている壁でも、高さが高すぎると本来の強さが出ません。

実験で、高さが3.2mを超えると耐力が低下することが分かっています。

そこで、高さが3.2mを超える場合は、次の計算式で求めた係数(αh)を通常の壁倍率に掛けて計算します。

αh=3.5×Ld/H0
(ただしαh≦1.0)

Ld:柱と柱の間の距離(mm)

H0:横架材(梁など)上端の間の垂直距離(mm)


構造用合板などの面材耐力壁は、4m程度まで高さがあっても性能が落ちないため、この低減は不要です。


④ 柱頭・柱脚接合部の引っ張り力の見直し

現在の計算では、「階高」と「耐力壁の幅」の比を3を想定して引き抜き性能を求めています。

しかし階高が高くなると柱にかかる引き抜き力は大きくなります。

そのため、階高が3.2mを超える場合は、柱頭・柱脚接合部の検証方法を見直す必要があります。



次回は、重量増加による影響(柱の小径)について、お話します。

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