NSJ住宅性能研究所

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2025年4月 建築基準法改正 ~見直し内容にフォーカス~23

増改築等の建築確認の見直し

増改築・大規模修繕・模様替・用途変更に関する建築確認のルール(令和4年改正)

建物の「増築(床を増やす)」「改築(壊して同じようなものを建て直す)」「移転(建物を別の場所に動かす)」「大規模な修理や模様替え」「用途変更(使い方の変更)」などを行うときには、建築確認という手続きが必要になる場合があります。

建物の安全性や防火性能などが法律に合っているかをチェックするための制度です。


◆ 改正前のルール(令和4年より前)

以下のような建物について、上記の工事を行う場合は「建築確認」が必要でした。

・大きな特殊建築物(200㎡超)
→ 劇場、ホテル、病院などのように多くの人が使う用途の建物で、床面積が200㎡を超えるもの

・大きな木造建築物
→ 階数が3階以上、または延べ面積が500㎡超、高さ13m超、軒高9m超のもの

・大きな非木造建築物
→ 木造以外(鉄筋コンクリート造など)で、階数2階以上、または延べ面積が200㎡を超えるもの

・上記以外の小規模な建築物(旧四号建築物)
→ 都市計画区域内などに建つ小さい建物も対象になることがありました



◆ 改正後のルール(令和4年改正)

法律が見直され、より分かりやすく整理されました。

今後は、以下のような建物について建築確認が必要になります。

・大きな特殊建築物(200㎡超)
→ 改正前と同じ。

・2階建て以上、または延べ面積200㎡超の建物(木造・非木造を問わない)
→ 木造かどうかに関係なく、建物の大きさで判断します。

・それ以外の小規模な建物
→ 都市計画区域内などで、1階建て・200㎡以下でも必要なケースがあります。

◆ 用語の意味

・増築:今ある建物に床を足して広げること

・改築:建物を壊して、同じような用途・大きさ・構造で建て直すこと

・大規模の修繕・模様替:建物の「柱・梁・壁・床・屋根」など主要な構造部分を半分以上直したり変えたりすること

・用途変更:たとえば、家を店舗にしたり、倉庫を保育所にするなど、建物の使い方を変えること


◆ 既存不適格建築物と確認手続き

過去の法律ではOKだったけど、今の法律には合わない古い建物のことを「既存不適格建築物」といいます。

これらの建物を増改築する際は、基本的に新しい法律に合わせる必要があります。

ただし、全ての部分を直さなければならないわけではなく、法第86条の7で一部の規定の適用を緩和する仕組みが整備されています(令和4年の改正でさらに拡充されました)


◆ 用途変更にも注意!

建物の使い方を変更して、たとえば「住宅」から「店舗」や「事務所」にするような場合(特に不特定多数の人が利用する特殊建築物になる場合)は、必ず建築確認を受ける必要があります(法第87条)

似たような使い方同士(例:学習塾 → 診療所など)の場合は対象外になることもあります。



次回は、住宅市場の変化について、お話します。

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