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柱の太さ(小径)に関する新しいルール(建築基準法施行令第43条関連) これまで、建物の柱の太さ(小径)を決めるとき、「軽い屋根」「重い屋根」といった単純な区分が使われていました。 しかし、近年では建物にかかる重さ(荷重)が多様化しているため、その実態に応じた、より正確な計算方法へと見直されました。 ■柱の太さの計算式(基本の算定式) 新しいルールでは、次の計算式を使って柱の太さを求めます。 de / l = 0.027 + 22.5 × Wd / l² ・de:柱の必要な太さ(mm) ・l:上下の梁(横架材)間の鉛直距離(mm) ・Wd:その階にかかる1㎡あたりの固定荷重と積載荷重の合計(N/㎡) ※固定荷重:壁や床など、常にかかる重さ ※積載荷重:家具や人など、変動する重さ ※雪の重さ(積雪荷重)は含めない ※柱に壁がついている場合、その方向では柱の太さの検討は不要 ■より詳しい計算式(座屈の理論式) さらに精度の高い「座屈(ざくつ)」に基づく理論式も用意されています。 de = l / 75.05 + √{ (l / 75.05)² + 1 / 1.3 × Wd × Ae / (1.1 × Fc / 3) } ・Ae:柱が支える床面積(㎡) ・Fc:柱の木材が耐えられる圧縮強度(N/mm²) この式を使うことで、 ・柱に必要な太さ(小径) ・柱が支えられる面積 をより正確に求めることができます。 ■計算支援ツールと早見表 日本住宅・木材技術センターでは、以下のサポートが提供されています。 ・条件を入力すれば、自動で柱の太さや負担面積を計算できる表計算ツール(Excelなど) ・標準的な条件に応じた早見表(試算例) これらは壁量計算のツールと同様に、センターの公式HPで公開されています。
■他の制度との連動(性能表示制度・長期優良住宅) 柱の太さに関する基準が変わったことに合わせて、他の制度でも見直しがありました。 1. 住宅性能表示制度 「必要壁量表」が廃止され、必要壁量を計算式で求める方式に変更 地震に対する強さを示す耐震等級2、3は、それぞれ計算結果に1.25倍、1.5倍を掛けて判断することになりました 2. 長期優良住宅認定制度 2022年10月1日以降、従来の耐震等級3を基準としていましたが、今回の改正を受けて、新たに定められた新耐震等級2へと見直されました 以上のように、柱の設計基準が建物の実際の荷重に即してより合理的・柔軟なものに変わってきており、それに合わせて関連制度も調整されています。建築設計の精度を高めるための重要な改正です。
次回は、屋根瓦の緊結方法の見直しについて、お話します。
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