NSJ住宅性能研究所

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2025年4月 建築基準法改正 ~見直し内容にフォーカス~14

木造建築の「壁量基準」と「柱の太さ(小径)」の見直し

※2025年(令和7年)4月1日から施行

■背景:なぜ見直すの?
最近は「高断熱・省エネ」の木造住宅が増えています。

たとえば、

・厚みのある断熱材を使う
・天井を高くする
・トリプルガラスの窓を使う
・太陽光発電を載せる

などにより、建物の重さが増えています。


これまでの基準では、「軽い屋根」か「重い屋根」かだけで必要な壁の量や柱の太さを決めていました。

しかし、今の建物の多様化に対応できなくなってきたため、実際の建物の重さに合った新しいルールに変わります。



① 壁量(建物を支える壁の量)のルール変更

【改正前】
「軽い屋根」か「重い屋根」かで、必要な壁の量を決めていた

【改正後】
「軽い屋根」「重い屋根」という分類をなくし、実際の建物の重さに応じて計算式で壁の量を決める

【さらに合理化された点】

・これまで評価の対象外だった腰壁(下半分の壁)や垂れ壁(上の小さい壁)も、強い壁(耐力壁)の一部として計算可能に
・壁の強さ(壁倍率)の上限が5倍→7倍までOKに
・構造計算をして安全性が確認できている場合は、壁量計算を省略できる


② 柱の太さ(小径)のルール変更

【改正前】
階の高さ(階高)や「軽い屋根/重い屋根」に応じて、柱の太さを決めていた

【改正後】
「軽い/重い」の区分をなくし、建物の重さに応じた計算式で柱の太さを決める。
または、
柱の太さごとに「どれだけの床面積を支えられるか」を計算できるようになる。

③ 設計をサポートするツールの導入

建物の条件(階高・床面積・屋根や壁の種類・太陽光パネルの有無など)を入力すると、

・必要な壁の量
・柱の太さ
・柱が支えられる床面積

などを簡単に自動計算してくれるツールが使えるようになります。


④ 経過措置(旧ルールを使ってもよい期間)

以下のような比較的小さな木造住宅については、しばらく旧ルールのままでもOKです。

・階数:2階以下
・高さ:13m以下、かつ軒高9m以下
・延べ面積:300㎡以下

※この条件を満たしていれば、2026年3月31日までに工事を始める場合は、改正前の基準でも設計できます。


<まとめ>

これからの木造建築は、

・より正確に建物の重さに応じた設計が必要
・新しい計算方法とツールで、柔軟で安全な設計ができる
・高性能な省エネ住宅も、無理なく設計しやすくなる

という方向に進んでいきます。



次回は、木造建築の「壁量基準」の見直しの計算などについて、お話します。

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