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2025年4月 建築基準法改正 木造軸組構法住宅の構造検討シリーズ39

木造小屋組の接続方法の選択(基準風速や強風に配慮)

■ 基本的な考え方

木造住宅の屋根(小屋組)は、建てる場所によって風の強さが異なるため、適切な接合方法(部材のつなぎ方)を選ぶことが大切です。

特に強風による被害を防ぐには、以下のポイントに注意しましょう。



■ 対象となる接合部

風に対する強さを確保するために、屋根のつなぎ目部分が対象となります。

・たるきともや(軒げた、むなぎ)
・小屋束と小屋ばり
・小屋束ともや(むなぎ)
・野地板とたるき

※「野地板とたるき」の接合は建築基準法の直接対象外ですが、屋根材の飛散を防ぐ観点からも同じように対策が必要です。

また、下記条件も守ってください。

・たるきの間隔:455mm以下
・もやの間隔:910mm以下


■ 接合方法の選び方

接合方法は、建設地の風の強さに応じて、以下の3つから選びます。

① 標準仕様(一般地域向け)

通常の地域(沿岸部でない)であれば、基本的な「標準仕様」から接合方法を選べます。

② 強風を考慮した仕様(沿岸部や風が強い地域向け)

風が強く吹く地域(例:沿岸部や山の上)では、より強度の高い接合方法を選ぶのが望ましいです。

屋根が吹き飛ぶなどの被害を抑えることができます。

※沿岸部でなくても、風が強く吹く立地(例:斜面の上など)では参考にしてください。

③ 強風+吹込みあり仕様(窓の破損を考慮)

台風などで窓が破損すると、屋内に風が吹き込み、屋根を下から押し上げる力が発生します。

そのような場合に備えた接合方法もあります。

以下の対策も合わせて検討すると良いでしょう。

・強風に強いガラスを使う
・雨戸やシャッターで窓を守る


■ 接合方法を選ぶ際の注意点

接合部の強さは、使用する木材の種類やたるき・もやの間隔によって変わります。

軒の出が90cm以上の場合や、たるき・もやの間隔が基準を超える場合は、構造計算によって安全性を確認する必要があります。



■ 参考資料

●強風に強いガラス選び:「安全・安心ガラス設計施工指針 増補版」(日本建築防災協会)

●屋根の接合仕様:「2021年改訂版 瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」(発行:全日本瓦工事業連盟 ほか)

●構造計算の基準:「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」(日本住宅・木造技術センター)


次回は、各接合方法の施工時に注意すべきポイントについて、お話します。

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