NSJ住宅性能研究所

MENU 検索

2025年4月 建築基準法改正 木造軸組構法住宅の構造検討シリーズ31

N値計算の例(直下に下階柱がない例)

耐力壁にかかる地震の力(=柱を引き抜こうとする力)は、本来、真下にある柱へしっかり伝える必要があります。

しかし、設計上の都合などで下階に柱を設けられない場合、引き抜き力は梁を通じて近くの柱へ伝わります。

どの柱に、どのくらいの力が伝わるかを考慮して、N値計算(引き抜き力に耐える金物の選定)を行う必要があります。



(※以下はN値計算法で使われる方法です)

<簡易な計算方法>

同一直線上の耐力壁の中で、上階の壁端柱に最も近い下階の柱に、すべての引き抜き力が伝わると仮定して計算します。

たとえば、上階に2つの耐力壁が並び、下階には柱が1本しかない場合 → 引き抜き力が大きい方の耐力壁を基にN値を計算します。


<詳細な計算方法>※より正確に計算したい場合

上階の壁端柱にかかる引き抜き力 T を、近くの2本の柱(柱1、柱2)で分けて負担させます。

・柱1と上階柱の距離を L1
・柱2と上階柱の距離を L2

とした場合、それぞれが負担する力 T1, T2 は以下の式で求めます。

(1) T1 = L2 × T ÷ (L1 + L2)
(2) T2 = L1 × T ÷ (L1 + L2)

ただし、

・L1またはL2が1m以下であることが条件です。
・柱が1本しかない場合 → その柱が引き抜き力Tを全て負担します(T1 = T または T2 = T)。
・耐力壁線から外れた場所に柱がある場合でも、この計算方法を使ってOKです。

柱1が別の耐力壁線に属している場合は、その壁線で求めた引き抜き力(Tα)にT1を加算してN値計算を行います。



次回は、筋かい設置の注意点について、お話します。

▲このページのTOPへ