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建物の耐震性能を確認するために行う「壁量計算」では、建物にかかる地震力に対して、どれだけの壁(耐力壁)が必要かを各階ごとに求めます。 建築基準法に基づく計算では、該当階の床面積を使って必要な壁量を計算します。 たとえば建物に以下のような特徴がある場合には、床面積の扱いに注意が必要です ・オーバーハング(上の階が下の階より外にせり出している部分) →地震の力は上階から下階に伝わりますが、建築基準法の計算では1階の床面積しか見ないため、2階のオーバーハング部分の重さが反映されず、実際より少なく計算されます。 ・吹き抜け(2階に床がない部分) → 屋根にかかる地震力は2階の壁が受け持ちますが、吹き抜け部分があると2階の床面積が小さく見積もられるため、必要な壁量が不足する恐れがあります。
性能表示(いわゆる「耐震等級」などを示す制度)に基づく計算では、**その階を真下から見上げたときの面積(投影面積)**を使うとされています。この考え方では、オーバーハング部分も面積に含まれるため、建築基準法よりも実態に即した評価になります。 まとめ 建築基準法の壁量計算 → 「その階の床面積」で計算(オーバーハング・吹き抜けには注意) 性能表示制度の壁量計算 → 「見上げたときの面積(投影面積)」で計算(実際の重さに近い) 建物の構造が複雑になるほど、この違いが耐震性能の評価に大きく影響します。そのため、設計時にはどちらの基準に基づくのかを明確にし、床面積の扱いを正しく理解することが大切です。
次回は、耐力壁の高さ・幅寸法規定について、お話します。
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